研究課題/領域番号 |
18K08997
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
井上 明宏 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (20593403)
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研究分担者 |
西川 真弘 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (20794308) [辞退]
國枝 武治 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (60609931)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 腫瘍幹細胞 / Glioblastoma / CD44 / High tnvasive type |
研究実績の概要 |
膠芽腫における腫瘍幹細胞(Cancer stem cell:CSC)の存在は、大部分の症例でみられる摘出腔辺縁からの局所再発における主要な要因と考えられる。そこで、腫瘍周辺におけるCSCの発現と作用を調べるため、膠芽腫組織を中心部と辺縁部に分け、各部位で発現している幹細胞マーカーを解析し、画像との対比、予後との関係、及び新規治療の可能性について検討した。13名の膠芽腫患者で,ナビゲーション下に腫瘍中心部と辺縁部を同定、各部位から組織を採取し、各種幹細胞マーカー及び関連分子の発現をqRT-PCRにて解析した。また、一部の幹細胞マーカーについては免疫組織学的にも検討した。さらに腫瘍辺縁部の組織を用いた初代培養より樹立したグリオーマ幹細胞様(GSL)細胞を用いて、in vitro及びin vivoでの遊走能,浸潤能,増殖能などの機能解析を行った。画像上、浸潤型の腫瘍では、CD44が中心部と比較して辺縁部でより多く発現しており、早期に再発を来たし予後不良であった。一方、境界鮮明型の腫瘍では辺縁部でのCD44の発現が低下する一方で、VEGFの発現量が多く、高い増殖能を示した。また、樹立したGSL細胞はCD44の発現が高く、同細胞は高い遊走能・浸潤能を有しており、CD44 siRNAによるknockdownにてそれらの活性は抑制された。一方、CD44をknockdownしたGSL細胞をマウス脳内に移植すると、腫瘍の浸潤のみならず増殖も抑制され、対照と比べマウスは長期間生存した。以上より、腫瘍摘出腔辺縁部にCD44高発現のCSCが多く存在する症例があり、同細胞群が高い浸潤性、早期再発に関与していると思われた。また、腫瘍辺縁部に残存したCD44発現腫瘍幹細胞の制御機構を解明することで新たな治療戦略の確立に繋がる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
膠芽腫患者では、腫瘍摘出腔辺縁部にCD44高発現のCSCが多く存在する症例があり、同細胞群が高い浸潤性、早期再発に関与していると思われた。今後は、腫瘍辺縁部に残存したCD44発現腫瘍幹細胞の制御機構には周辺の酸素環境が関わっていることが分かり、その詳細を解明することで新たな治療戦略の確立を模索する予定である。なお、上記は、H30年、R1年度に計画していた事項であり、研究は概ね順調に経過していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの結果を踏まえると、腫瘍辺縁部に残存したCD44発現腫瘍幹細胞の制御機構、特に摘出腔周囲の酸素環境を制御してその詳細を解明することが、膠芽腫に対する新たな治療戦略の確立に繋がっていく可能性が高いと推測され、今後は同部位におけるCD44発現腫瘍幹細胞の酸素環境に応じた特性を検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
R1年度に計画していた研究計画が一部、進渉していない部分もあったため、次年度使用額が生じた。今後は、腫瘍辺縁部に残存したCD44発現腫瘍幹細胞の様々な酸素環境下での制御機構を解明することで新たな治療戦略の確立を模索していく予定である。
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