研究課題
本研究課題では、中枢神経原発リンパ腫(PCNSL: primary central nervous system lymphoma)に対する治療法として、腫瘍溶解性ウイルス(oncolytic virus: OLV)および合成ノッチ(synNotch)を活用した新たな免疫療法の開発に向けた基盤的研究を実施している。本年度は、患者由来PCNSL細胞株の特性解析、OLVとして使用しているニューカッスル病ウイルス(Newcastle disease virus: NDV)のHN抗原に対するモノクローナル抗体の性状解析とFab 領域のクローニング、ならびに、抗NDV-HN一本鎖抗体(ScFv)を搭載したsynNotch細胞の構築を行った。 ビトリゲルを使用した3次元培養系を用いて樹立したPCNSLを増幅し、免疫不全マウスに移植したところ、腫瘍細胞は脳血管周囲において顕著に浸潤・増殖しており、原発巣における腫瘍の増殖様式や組織型とほぼ一致していた。PCNSLのNDVに対する感染感受性およびウイルス抗原の発現を、作製したモノクローナル抗体を用いたフローサイトメーターで解析したところ、約70%の患者由来PCNSL細胞の細胞表面にHN抗原が発現していることが明らかになった。次に、NDV-HNを認識するsynNotch遺伝子カセットをT細胞株であるJurkat細胞に定常的に発現させ、NDV感染PCNSL細胞と共培養すると、synNotchが感染PCNSLを感知し、人工転写因子Gal4-Vp64が核内に移動してレポーター遺伝子の発現が誘導された。PCNSLの細胞表面マーカーであるCD19に対するキメラ抗原受容体(CAR)遺伝子をGal4 DNA-binding domain (DBD)の下流のカセットに導入し、synNotchの活性化により誘導されるかどうかについて現在確認中である。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件)
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