研究課題/領域番号 |
18K09003
|
研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
安達 淳一 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (70291143)
|
研究分担者 |
西川 亮 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90237678)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | TERT / 遺伝子変異 / プロモーター |
研究実績の概要 |
本年度は、まず下垂体腺腫に対してのTERTプロモーター領域の変異、メチル化を判定する方法の樹立から試みた。70例の下垂体腺腫(初発53例、再発17例)に対して後方視的に解析した。各腫瘍の年齢、腫瘍径、組織型、手術摘出率、再発までの期間などの臨床的パラメーターとTERT遺伝子プロモーターの変異、メチル化の程度(定量解析)、TERT mRNA発現量の遺伝子情報との関連を統計学的に解析した。 手技としては、TERT プロモーターホットスポット変異に対しては、Sanger sequence 法を用いた。TERT プロモーターメチル化の解析にはDNAをbisulfite 処理し、methylation-sensitive high-resolution melting 法を用いて定量的に測定した。TERT発現の評価は、real-time quantitative PCRを用いてmRNA レベルを測定し、相対定量法により正常脳に比べどのくらい発現が亢進しているか測定した。 結果は、TERT遺伝子プロモーターの変異は全くみられなかった。一方で、TERT遺伝子プロモーターのメチル化は16%の下垂体腺腫に検出された。TERTメチル化を有する下垂体腺腫は有意に腫瘍再発までの期間が短かく、TERT mRNAの発現も著明に上昇していた。 以上から、TERT遺伝子プロモーターメチル化を持つ下垂体腺腫が腫瘍再発を早期に来すことを示すことが証明された。本結果はTERT遺伝子メチル化が下垂体腺腫の再発予測因子のバイオマーカーになりうる可能性を示唆した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回用いた methylation-sensitive high-resolution melting 法は、TERTプロモーターにおけるbisulfite 処理後に生じる変異の程度を高感度に定量評価する方法である。脳腫瘍の1つの下垂体腺腫において、本法を用いた解析法にて論文化に至る結果が得られたため。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、グリオーマにおけるTERT変異を高感度に検出できる high-resolution melting 法の確立に向けて、条件設定などの工夫を行ってゆく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 学会発表回数が当初の予測より少なかったから (使用計画) さらに研究成果を充実させて、学会発表や論文作成の準備に使用する。
|