研究課題/領域番号 |
18K09003
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
安達 淳一 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (70291143)
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研究分担者 |
西川 亮 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90237678)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | glioma / TERT / digital PCR |
研究実績の概要 |
染色体のテロメア伸長をもたらす逆転写酵素遺伝子であるTERT(Teromerase reverse transcriptase)遺伝子のプロモーター領域の点突然変異(C228TかC250T)が成人膠芽腫の55~83%、乏突起膠腫の70%以上の頻度で検出され,診断上重要な分子マーカーである。TERTプロモーター領域はGC含量が高いうえに繰り返し配列を含むため、変異検出のための通常のDNAシークエンス法では感度や再現性が低く偽陰性が多い。そこで、我々は短時間かつ高感度に再現良くTERT遺伝子変異を解析すべく独自に最適化した Droplet Digital PCR(ddPCR)法の確立を試みた。 グリオーマの凍結組織及びパラフィン包埋後の組織由来のDNA 20ngに対して、それぞれ別々の蛍光色素でラベルした TERT変異型と野生型プローブの存在下で最適化したddPCR増幅を行い、変異型と野生型のDNAのコピー数を定量した。 その結果、凍結組織及びパラフィン包埋固定後の組織由来DNAに対して、TERT変異型(C228T,C250T)とTERT野生型のアレルのコピー数が競合することなく検出された。ddPCR法はサンプル内にPCR増幅される遺伝子があれば必ず増幅検出されるため、0.1%の変異DNAでも検出が可能な高感度な遺伝子変異検出法であり再現性も高い。特に変異のホットスポットが判明している遺伝子解析に対しては有用な方法である。極めて微量のDNAでも解析可能で、血漿や髄液を用いたcirculating DNA からの遺伝子変異検索の可能性へも繋がる画期的な手法である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定である、高感度なTERT変異検出について、現時点でDroplet Digital PCR(ddPCR)法にて確立できたから。
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今後の研究の推進方策 |
さらに症例数を増やして、今回確立した方法の有用性を検証すること。極微量の髄液由来のcirculating DNA からの遺伝子変異検索が可能かどうかを検討すること。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 研究が順調に進行し、当初より経費が抑えられたため (使用計画) さらに研究成果を充実させて、学会発表や論文作成の準備に使用する。
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