今後の研究の推進方策 |
当研究室に保管するヒト悪性グリオーマ細胞株から、U251株以外の細胞株も用いて、治療感受性に関与が予想される分子の遺伝子異常や発現状況について検討する。特にTMZ、ACNU感受性に関与する遺伝子・因子(MGMT, MSH1, MSH6, MLH1, PMS2など)に加えて、hypermutatorに関連しえる遺伝子異常(TP53, IDH1/2, Rad51, Chk1/2など)、神経膠腫におけるdriver mutationなどをCancer Panel等を用いて検索し、それら遺伝子異常とTMZ治療後のhypermutationの有無の相関を検討する。遺伝子異常や蛋白発現異常を検出し、細胞の治療に対するcharacterizationを行う。 これらの細胞をTMZ及びACNUで治療する。最終的に初年度に開始したTMZ及びACNU耐性株を作成を成功させたい。親株⇔耐性株間におけるMGMT statusとMMR機能・発現・遺伝子変異の変化の有無を解析する。樹立した細胞及び各親株のペアに対し、遺伝子変異の解析を行う。 その上で、ヌードマウス脳腫瘍モデル(Nagane M, et al. Cancer Res 56: 5079-5086, 1996など)を用いて、遺伝子異常背景が明らかとなっているTP53野生型、TP53変異型の双方の細胞株の移植後、TMZあるいはACNUでマウスを治療し、治療後の再発腫瘍を摘出し、移植した親細胞と遺伝子変異にどのような差が生じているか、解析、比較評価する。 これらの実験結果から、グリオーマ細胞において、hypermutationを惹起する因子として、MGMT、MMR、使用薬剤(TMZ/ACNU)の組み合わせ、その他有意な因子を総合解析する。
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