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2019 年度 実施状況報告書

細胞外エクソソームによるSurvivin発現の制御機構の解明と治療・診断への応用

研究課題

研究課題/領域番号 18K09006
研究機関東京女子医科大学

研究代表者

齋藤 太一  東京女子医科大学, 医学部, 助教 (40457247)

研究分担者 岡本 沙織  東京女子医科大学, 医学部, 助教 (20746763) [辞退]
濱 聖司  広島大学, 医系科学研究科(医), 研究員 (40397980)
村垣 善浩  東京女子医科大学, 医学部, 教授 (70210028)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードSurvivin / Vimentin / Glioma / 血清濃度 / バイオマーカー
研究実績の概要

本年度は、神経膠腫の患者さんの血清回収を終了した。我々はグリオーマ症例(WHO悪性度分類 grade 2~4)と健常人の血清においてSurvivinの濃度をELISA法を用いて測定した。残念ながら、グリオーマ症例と健常人の血清におけるSurvivin濃度を比較したところ、明らかな有意差は認められなかった。この結果に関しては、Survivinの血清における安定性の脆弱さが原因と考えられた。次に、同検体を用いて、我々が以前より注目していたNestinの血清濃度について解析を行った。NestinはSurvivin同様に幹細胞系の細胞に高発現することが報告されており、我々はNestinとSurivivinの発現に相関関係があると考えている。ELISA法では、術前グリオーマ患者血清のnestin濃度が平均0.759ng/m0.759であったのに対し、正常人では0.15ng/mlと、統計学的に有意にグリオーマ患者血清でNestin濃度の上昇を認めた(p <0.0001)。血清NestinのROC解析では0.787ng/mlをカットオフ値とした時にAUC=0.926と高い検出率で健常人とグリオーマ患者との鑑別が可能であった(p<0.0001)。これらの成果はNestinの血中濃度がバイオマーカーとしての意義の解明に役立つものと考えている。さらに我々は、Nestin同様、Vimentin蛋白の血清濃度に関しても、グリオーマ症例において上昇していると考えており、現在、倫理委員会に追加申請を行っている状況である。Vimentinの血清濃度に関してもグリオーマ症例において有意に上昇していることが見いだせれば、VimentinとNestinの血清濃度を併用した指標を導き出せることが期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

我々はグリオーマ症例(WHO悪性度分類 grade 2~4)と健常人の血清においてSurvivinの濃度に有意な差が認められると考えていたが、残念ながら明らかな有意差は認められなかった。そのため方向性を変え、Survivinの発現と相関する考えられるNestinの血清濃度に関して検討を行った。我々はELISA法にて有望な結果を得ることができており、今後Nestinの血中濃度と、腫瘍組織検体におけるSurvivinの発現(免疫染色による解析)との相関について検討を行う予定である。

今後の研究の推進方策

本年度我々は、ELISA法にて術前グリオーマ患者血清のnestin濃度と正常人での血清濃度を比較したところ、統計学的に有意にグリオーマ患者血清でNestin濃度の上昇を認める結果を得た(p <0.0001)。血清NestinのROC解析では0.787ng/mlをカットオフ値とした時にAUC=0.926と高い検出率で健常人とグリオーマ患者との鑑別が可能であった(p<0.0001)。これらの成果はNestinの血中濃度がバイオマーカーとしての意義の解明に役立つものと考えている。我々はNestinとSurvivinの発現には相関があると考えており、今後Nestinの血中濃度と、腫瘍組織検体におけるSurvivinの発現(免疫染色による解析)との相関について検討を行う予定である。さらに我々は、Nestin同様、Vimentin蛋白の血清濃度に関しても、グリオーマ症例において上昇していると考えており、現在、倫理委員会に追加申請を行っている状況である。Vimentinの血清濃度に関してもグリオーマ症例において有意に上昇していることが見いだせれば、VimentinとNestinの血清濃度を併用した指標を導き出せることが期待される。

次年度使用額が生じた理由

今回の研究に関して、患者血清の回収に関しては、当施設の臨床検査部からの全面的な支援をうけることができたため、採血管等の経費が抑えられたことが一つ
理由に挙げられる。また、今年度の実験に関しては、これまで購入していた実験試薬、実験器具を一部流用することができたため、経費を抑えることができた。
一方でSurvivin, Nestin, Vimentin濃度測定用のELIZAキットは、1キット10万円前後と高額であるため、抑えることができた経費を来年度以降に有効に使用する計画である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] nfluence of wide opening of the lateral ventricle on survival for supratentorial glioblastoma patients with radiotherapy and concomitant temozolomide-based chemotherapy.2020

    • 著者名/発表者名
      Taiichi Saito, Yoshihiro Muragaki, Takashi Maruyama, Takashi Komori, Masayuki Nitta, Shunsuke Tsuzuki, Atsushi Fukui, Takakazu Kawamata
    • 雑誌名

      Neurosurgical review

      巻: - ページ: in press

    • DOI

      10.1007/s10143-019-01185-2.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Correlation between localization of supratentorial glioma to the precentral gyrus and difficulty in identification of the motor area during awake craniotomy2020

    • 著者名/発表者名
      Taiichi Saito, Yoshihiro Muragaki, Manabu Tamura, Takashi Maruyama, Masayuki Nitta, Shunsuke Tsuzuki, Atsushi Fukui, Takakazu Kawamata
    • 雑誌名

      Journal of Neurosurgery

      巻: - ページ: in press

    • 査読あり
  • [学会発表] Recommended Practices for Neuro-monitoring in Glioblastoma.2019

    • 著者名/発表者名
      Saito T (invited speaker), Muragaki Y, Maruyama T, Kawamata T
    • 学会等名
      Congress of Neurological Surgery Annual Meeting
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 標準的治療を受けた膠芽腫症例において術中の広い脳室開放が生存予後に与える影響についての検討2019

    • 著者名/発表者名
      齋藤太一, 村垣善浩, 丸山隆志, 新田雅之, 都築俊介, 福井敦, 川俣貴一
    • 学会等名
      第78回日本脳神経外科学会総会
  • [学会発表] グリオーマ手術における術中フローサイトメトリーの有用性2019

    • 著者名/発表者名
      齋藤太一, 村垣善浩, 丸山隆志, 新田雅之, 都築俊介, 福井敦, 川俣貴一
    • 学会等名
      第24回日本脳腫瘍の外科学会

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公開日: 2021-01-27  

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