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2020 年度 実施状況報告書

細胞外エクソソームによるSurvivin発現の制御機構の解明と治療・診断への応用

研究課題

研究課題/領域番号 18K09006
研究機関東京女子医科大学

研究代表者

齋藤 太一  東京女子医科大学, 医学部, 特任講師 (40457247)

研究分担者 岡本 沙織  東京女子医科大学, 医学部, 助教 (20746763) [辞退]
濱 聖司  広島大学, 医系科学研究科(医), 研究員 (40397980)
村垣 善浩  東京女子医科大学, 医学部, 教授 (70210028) [辞退]
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワードSurvivin / Vimentin / Glioma / 血清濃度 / バイオマーカー
研究実績の概要

昨年度、我々はグリオーマ症例(WHO悪性度分類 grade 2~4)と健常人の血清においてSurvivinの濃度の差をELISA法を用いて測定したが、明らかな有意差は認められなかったため、Survivin同様に幹細胞系の細胞に高発現するNestinの濃度を測定し、健常人とグリオーマ患者の間で有意差があることを示した。本年度はNestin同様、悪性グリオーマに高発現していることが報告されているVimentin蛋白の血清濃度に関しても、グリオーマ症例において上昇している可能性が高いと考え、倫理委員会に追加申請を行い承認された。ELISA法にて、術前グリオーマ患者血清のVimentin濃度と健常人での濃度を測定し、Wilcoxonの検定を行ったところ、グリオーマ患者と健常人の血清Vimentin濃度の間に有意差を認めた(p <0.0001)。グリオーマ患者の各グレード間(グレード 2, 3, 4)では有意差は認めなかったが、グレード4において濃度が高い傾向を示した。血清Vimentin濃度のROC解析では2.9ng/mlをカットオフ値とした時にAUC=0.93(感度86%、特異度100%)と高い検出率で健常人とグリオーマ患者との鑑別が可能であることが判明した。(p<0.0001)。これらの成果はVimentinの血中濃度の悪性グリオーマ患者におけるバイオマーカーとしての意義の解明に役立つものと考えている。今回ELIZA法による測定が可能であったのは、Vimentinが細胞骨格に関わる蛋白で、比較的安定した蛋白構造を持っているためと考えられた。Vimentinは、他の癌腫においてSurvivinから制御を受けていることが報告されており、グリオーマ患者における血清Vimentin濃度の上昇においても、Survivinが何らかの関与をしている可能性があると考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

我々はグリオーマ症例(WHO悪性度分類 grade 2~4)と健常人の血清においてSurvivinの濃度に有意な差が認められると考えていたが、残念ながら明らかな有意差は認められなかった。そのため方向性を変え、Survivinの発現と相関する考えられるVimentinの血清濃度に関して検討を行った。我々はELISA法にて有望な結果を得ることができており、今後Vimentinの血中濃度と、腫瘍組織検体におけるSurvivinの発現(免疫染色による解析)との相関について検討を行う予定である。

今後の研究の推進方策

本年度我々は、ELISA法にて、術前グリオーマ患者血清のVimentin濃度と健常人での濃度を測定し、Wilcoxonの検定を行ったところ、グリオーマ患者と健常人の血清Vimentin濃度の間に有意差を認めた(p <0.0001)。グリオーマ患者の各グレード間(グレード 2, 3, 4)では有意差は認めなかったが、グレード4において濃度が高い傾向を示した。血清Vimentin濃度のROC解析では2.9ng/mlをカットオフ値とした時にAUC=0.93と高い検出率で健常人とグリオーマ患者との鑑別が可能であることが判明した。(p<0.0001)。今後、さらに検体数を増やし、Vimentinの血清濃度を用いたさらに洗練された指標を導き出せるものと考えている。また前立腺癌においては、SurvivinがVimentinの発現を制御することが報告されており、今後、臨床検体におけるSurvivinの発現強度(免疫染色法による解析)と血清Vimentin濃度との相関についても改正を進めていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

今回の研究に関して、患者血清の回収に関しては、当施設の臨床検査部からの全面的な支援をうけることができたため、採血管等の経費が抑えられたことが一つ
理由に挙げられる。また、今年度の実験に関しては、これまで購入していた実験試薬、実験器具を一部流用することができたため、経費を抑えることができた。
一方でSurvivin, Nestin, Vimentin濃度測定用のELIZAキットは、1キット10万円前後と高額であるため、抑えることができた経費を来年度以降に有効に使用する計画である。
一方で今回の症例数53例に加えて、次年度でさらに30例程度の症例追加を予定しているため、次年度に繰り越した経費を有効に使用する予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Mucosal thickening of the maxillary sinus is frequently associated with diffuse glioma patients and correlates with poor survival prognosis of GBM patients: comparative analysis to meningioma patients2021

    • 著者名/発表者名
      Saito T, Muragaki Y, Maruyama T, Abe K, Komori T, Amano K, Eguchi S, Nitta M, Tsuzuki S, Fukui A, Kawamata T.
    • 雑誌名

      Neurosurgical review

      巻: 44 ページ: 3249 - 3258

    • DOI

      10.1007/s10143-021-01490-9

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Awake craniotomy with transcortical motor evoked potentials monitoring for resection of gliomas within or close to motor related areas: validation of utility for predicting motor function2021

    • 著者名/発表者名
      Saito T, Muragaki Y, Tamura M, Maruyama T, Nitta M, Tsuzuki S, Ohashi M, Fukui A, Kawamata T
    • 雑誌名

      Journal of Neurosurgery

      巻: - ページ: in press

    • 査読あり
  • [学会発表] グリオーマにおけるCT、メチオニンPET所見と1p/19q欠失2021

    • 著者名/発表者名
      齋藤太一, 村垣善浩, 丸山隆志, 新田雅之, 都築俊介, 福井敦, 川俣貴一
    • 学会等名
      第44回日本脳神経CI学会総会
    • 招待講演
  • [学会発表] 上顎洞の粘膜肥厚の合併は神経膠腫症例に多く膠芽腫症例においては予後不良因子である2020

    • 著者名/発表者名
      齋藤太一, 村垣善浩, 丸山隆志, 新田雅之, 生田聡子, 都築俊介, 福井敦, 小森隆司, 川俣貴一
    • 学会等名
      第38回日本脳腫瘍学会学術集会
  • [学会発表] 覚醒下手術による言語・運動系機能の温存2020

    • 著者名/発表者名
      齋藤太一
    • 学会等名
      第40回日本脳神経外科コングレス総会
    • 招待講演
  • [学会発表] 運動野・錐体路内および近傍部神経膠腫の摘出術における覚醒下手術・経皮質MEPモニタリング併用の有用性2020

    • 著者名/発表者名
      齋藤太一, 村垣善浩, 丸山隆志, 田村学, 新田雅之, 都築俊介, 福井敦, 川俣貴一
    • 学会等名
      第25回日本脳腫瘍の外科学会
  • [学会発表] 運動野・錐体路内および近傍部神経膠腫の摘出術における覚醒下手術・経皮質MEPモニタリング併用の有用性2020

    • 著者名/発表者名
      齋藤太一, 村垣善浩, 丸山隆志, 田村学, 都築俊介, 福井敦, 川俣貴一
    • 学会等名
      第17回日本Awake Surgery学会
  • [学会発表] 術中言語野、運動野の同定が困難となる因子についての検討-20年間のAwake surgeryの経験から得られた知見2020

    • 著者名/発表者名
      齋藤太一, 村垣善浩, 丸山隆志, 新田雅之, 都築俊介, 福井敦, 川俣貴一
    • 学会等名
      第79回日本脳神経外科学会総会
  • [学会発表] SCOTの状況と他科での応用2020

    • 著者名/発表者名
      齋藤太一
    • 学会等名
      日本脳神経外科学会 第79回学術集会
    • 招待講演

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公開日: 2021-12-27  

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