研究課題
(1)類もやもや病ともやもや病の定義におけるRNF213多型の役割:類もやもや病(QMMD)は、もやもや病(MMD)にさらに基礎疾患を併発したものである。ring finger protein 213(RNF213)c.14576G>A変異はアジア人集団においてMMDと高い相関があるが,QMMDとの関連は不明である。そこで、本研究で著者らは、QMMDの遺伝子診断と分類におけるRNF213 c.14576G>A変異について検討した。MMD患者76名とQMMD患者10名を対象に、RNF213 c.14576G>Aの有病率を調査した。両群間に年齢、性別、家族歴、発症様式に有意差はなかった。QMMDの基礎疾患は、甲状腺機能亢進症(n=6)、神経線維腫症1型(n=2)、シェーグレン症候群(n=1)および髄膜炎(n=1)であった。RNF213 c.14576G>A変異は、MMD患者64人(84.2%)とQMMD患者8人(80%)に認められ、変異頻度にコホート間の有意差は認められなかった。QMMDには、血管の異常が基礎疾患に関連している場合と、MMDに無関係の基礎疾患が偶然に合併している場合の2つの形態がある。RNF213 c.14576G>A変異の有無は、これらの病型の鑑別に有用であることが示唆された(2) RNF213 c.14576G>Aは頭蓋内内頸動脈嚢状動脈瘤と関連:本邦でのRNF213と脳動脈瘤(AN)の研究は、両者の関係を明らかにしなかったため、本研究ではICA嚢状動脈瘤(ICA-AN)に限定しRNF213の関係について検討した。RNF213はICA-AN患者の12.2%、ICS患者の13.6%で検出された。ICA-AN患者とICS患者ではRNF213変異の発現リスクは同等(オッズ比、0.884;95%信頼区間、0.199-3.91;p=0.871)。(3)Ring finger protein 213 c.14576G>A変異は内頚動脈形成不全に関与しない:ICA系の先天性閉塞性病変におけるRNF213変異の頻度を評価した。RNF213 c.14576G > Aはすべての患者に見られなかった。(4)多発性内分泌腫瘍2A型に合併したもやもや症候群の意義:もやもや症候群を合併したMEN2Aの遺伝子解析結果はRNF213のヘテロ接合型であった。
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