研究課題/領域番号 |
18K09010
|
研究機関 | 愛知工科大学 |
研究代表者 |
永野 佳孝 愛知工科大学, 工学部, 教授(移行) (40610142)
|
研究分担者 |
宮地 茂 愛知医科大学, 医学部, 教授 (00293697)
泉 孝嗣 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (90467291)
大島 共貴 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (30378161)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 脳神経外科 / 脳血管内治療 / 芯金 / 裸眼立体視 / VR / ボルマトリクス |
研究実績の概要 |
本研究では、カテーテルを用いる脳血管内治療において、カテーテルの先端形状を変形させるシェイピング作業の支援システムを開発する。そのコンセプトは、従来では医師が頭の中で構築していたカテーテルの変形形状をコンピュータを用いて設計支援すること、変形に用いる芯金の可視化と自動製作を実現することである。本研究の具体的目的は、研究1から5に分けられている。2020年度では、主に研究1から4について進めた。 研究1であるカテーテル形状入力システムについては、実際の医療機関での使用を考慮して操作インターフェイスの改良を行った。本システムは、昨年度にぺン型の力覚デバイスを使った形状入力を実装しているが、力覚デバイスは高価かつ大型である。医療機関への導入を容易にするため、汎用的なマウス操作での形状入力を実現した。研究2の2倍曲率の芯金計算処理については、開発を終了して研究1のシステムに組み込み、本システムで表示できるようにした。 研究3の裸眼立体視表示システムについては、2020年度も引き続き3D血管の映像表示部の製作を継続している。血管表示部の開発が遅れているため、この表示原理が実際に臨床で使用できるかを映像ではなく3Dプリンタで造形した血管モデルを用いて実証評価を行った。実証評価には、患者の血管画像をもとに3Dプリンタで造形した血管モデルを、2つの凹面鏡から構成されるボルマトリクスの中に入れてホログラム投影を行い、このホログラムと芯金を挿入されたカテーテルの先端を医師が手で形状加工を実施し、実際に患者の治療に用いて評価した。ホログラム映像が映像中心からずれると拡大率が変わるなどの歪みが確認されたため、映像表示ではこの歪みを補正することとした。 研究4の芯金加工システムでは、現在、研究1のシステムで設計した形状が加工できるように、システム内部へ処理プログラムを実装中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度の目標は、研究1から4を完成させて評価を行い改良することと、研究5について試作品を完了させることである。研究1におけるカテーテル形状入力システムについては、評価段階に入り、現在改良中である。研究2について、カテーテル形状の2倍曲率となる芯金形状の計算部分が完了した。研究3については、映像の表示部分の開発が遅れているが、代替手法によってホログラム映像表示の実証評価をした。研究4については、芯金を送り出す機械体が完成している。研究5については未着手である。全体として1年程度の遅れと考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
全体として1年程度遅れているため、補助事業期間延長承認申請により研究期間を1年延長し、当初に計画した研究目的を達成していく。主に遅れている研究3から5の推進方針を述べる。 研究3の映像表示部については、FPGAボードと高速プロジェクタを用いて実装することになる。基本設計は完了しており、2021年度前半で実装し、後半で評価を行う予定である。 研究4の芯金加工システムについては、残りの開発は先端部のワイヤ曲げ機構部とその制御部である。2021年度前半で実装し、後半で評価を行う予定である。 研究5の計算力学的な適性形状の算出システムについては、曲げ点の摩擦力の最大化と全体の摩擦力の最小化をもとにした計算アルゴリズムを2021年度前半で構築し、後半にて実装と評価を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度は補助事業期間延長承認申請によって延長された1年であるので交付収入はないため、次年度用の学会発表などに必要な金額を繰り越した。
|