研究課題/領域番号 |
18K09014
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
本谷 和俊 北海道大学, 大学病院, 医員 (10805279)
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研究分担者 |
テルカウィ アラー 北海道大学, 医学研究院, 特任助教 (00723074)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | マクロファージ / エクソソーム / OA / RA |
研究実績の概要 |
エクソソームやマイクロベシクルといった細胞外小胞は、細胞間の情報伝達を担い、その病態形成に重要な役割を果たしていることが知られており、その機能は注目を集めている。滑膜マクロファージは、滑膜内の主要な細胞成分として知られており、変形性関節症(以下OA)や関節リウマチ(以下RA)において滑膜マクロファージは関節内に多数のエクソソームやマイクロベシクルを生成している。しかし、滑膜マクロファージ由来エクソソームの機能ならびにOAおよびRAといった関節疾患の病態への寄与については詳細に知られていない。我々は、この滑膜マクロファージ由来エクソソームの機能解析を行うことで、OA及びRAの新規バイオマーカーの同定や治療ターゲットの発見に役立つと考えた。本研究において、OA、RA患者の関節内での滑膜マクロファージのエクソソームを同定し、滑膜マクロファージ由来エクソソームが軟骨組織や骨組織に及ぼす影響を解析する。この研究によりOA、RAにおける新規バイオマーカーの同定や治療法の開発につながるものと考えている。今年度、我々はOAおよびRA患者の滑膜マクロファージの単離プロトコールを確立した。その後、培養上清よりマクロファージ由来エクソソームを単離した。培養軟骨細胞に対してエクソソームを付加したところ、軟骨細胞の異化作用を増強した。一方、in vitroにおいてエクソソームは破骨細胞形成を促進しなかった。現在、我々はex vivoにおいてマクロファージ由来エクソソームの軟骨組織および骨組織における影響を調べている段階である。さらに、より多くの患者より大量のエクソソームを獲得し、RNAシークエンスやプロテオーム解析といった網羅的解析を含むさらなる研究を計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
我々は生成された滑膜マクロファージ由来エクソソームにおける分子標的の同定に関して、やや計画よりも遅れを認めている。その要因として、RNAシークエンスやプロテオーム解析といった網羅的解析を行うために必要とされる十分なエクソソームの量が確保できていないことがあげられる。次年度より、我々は網羅的解析を含む詳細な解析のために、より多数の患者より多くのエクソソームの抽出を行うことを検討している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度、まず我々は滑膜マクロファージ由来エクソソームに内包される因子の網羅的解析を検討している。エクソソーム内に内包されるタンパク質についてLC-MS/MSを用いてプロテオーム解析を行い、miRNAについてマイクロアレイを用いてトランスクリプトーム解析を行う予定である。これらの網羅的解析によりエクソソーム内の主要な因子を同定し、滑膜線維芽細胞や破骨細胞、軟骨細胞などに及ぼす影響をリアルタイムPCRなどで評価することを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
納期に時間を要し、年度をまたぐことが判明したため、発注を取りやめたため
関連研究の消耗品購入に使用予定
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