研究課題/領域番号 |
18K09016
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
米本 由木夫 群馬大学, 大学院医学系研究科, 研究員 (50400734)
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研究分担者 |
須藤 貴仁 群馬大学, 医学部附属病院, 医員 (00769036) [辞退]
中島 崇仁 群馬大学, 医学部附属病院, 准教授 (70375559)
岡邨 興一 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (90527722)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 関節リウマチ / 光免疫療法 / トシリズマブ |
研究実績の概要 |
本研究では7週齢のオスのDBA/1Jマウスを用いて関節炎モデルを作成した。Biodistribution studyでは、MR16-1は脾臓に最も多く分布しており照射する標的臓器は脾臓に決定した。治療プロトコールはBoostingから24時間後にMR16-1/IR700を腹腔内へ50μg投与した。腹腔内投与から24時間後、48時間後、72時間後に各々50J/cm2を脾臓に照射した。経過観察期間は飼育開始から8週間として、飼育開始から2週間、4週間、5週間、6週間の時点でFDG-PETを計4回撮影して関節炎評価を行った。 PDG-PETの解析ではコントロール群と比較して関節炎の有意な改善は認められなかった。今後は蛍光カメラで照射前後の脾臓の蛍光度を分析して、マクロファージなどのターゲット細胞が細胞死を起こしているかを確認する予定である。 またin vitroではRAW264.7(RIKEN)のcell lineを用いて実験を行った。24well dishに1.0×104cell/wellの細胞数で培養を開始。24時間後に抗体(MR16-1/IR700)を8μg/mlの濃度で投与した。6時間incubation、1時間incubation、controlの3群で各3wellずつ行い、Flowcytometryを用いてRAW264.7と抗体の結合割合を計測した。1時間 incubationでは平均34.3%の細胞が結合して、6時間incubationでは平均77.3%の細胞が結合していた。また事前に蛍光カメラにて結合を確認したが、蛍光カメラでも結合は良好であった。 このことからMR16-1はRAW264.7に結合していることが確認できたので、今後はin virtoにおいても近赤外線照射を行い、RAW264.7が細胞死を起こすかの実験を進めていく方針である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで癌治療において研究されてきた光免疫療法だが、関節リウマチにおいてはこれまで先行研究がない。そのため癌治療のプロトコールを踏まえつつ、MR16-1の投与量と投与方法及び近赤外線の照射量と照射方法についての検討が必要であった。当初はMR16-1 を50μg投与してから24時間後に手関節や足関節に近赤外線照射をしていたが、効果はみられなかった。上記にも記載した通り、Bistribution studyにて脾臓に多く分布していることが分かり、脾臓への照射を開始した。しかし、現在までに関節炎の改善はみられない。また治療プロトコールの検討に加えて、評価方法についても検討を行っている。現在は週2回の経時的な関節腫脹の観察に加えて、FDG-PETや蛍光カメラ、PCRなどを用いて評価を行っている。今後は蛍光カメラで照射前後の脾臓の蛍光度を計測して治療直後の変化を観察していく方針である。またin vitroでも同様に近赤外線照射でRAW264.7が細胞死を起こすのか確認していく方針である。
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今後の研究の推進方策 |
Iv vivoとin vitroの両面から近赤外線照射によりマクロファージなどのターゲットとする細胞がネクローシスを起こすのかを検証していく方針である。In vitroではLIVE/DEAD stainingを用いてのflowcytometryと蛍光顕微鏡による細胞観察により、ネクローシスの有無を確認していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
近赤外線の照射法や照射量などプロトコールの検討および関節炎評価法について検討を行っている。今年度も昨年度と同様にプロトコールの検討および細胞実験についても引き続き継続する必要があり、科研費の使用が生じると考える。使用計画としては上記実験を実施するために使用するDBA/1Jマウスの購入、細胞実験におけるcell lineおよび周辺機器や材料費のために必要と考える。さらにPCRを用いての各臓器のIL-6とTNF-αの発現量解析も予定しており、PCRに必要な薬剤の購入のためにも使用する計画である。
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