外反母趾用プレートについては、手術症例に合わせたカスタムメイドインプラント及びカッティングガイドの作成を5例に対して術前CTと手術計画をもとにカスタムインプラントを作成し、実際の手術時に仮固定を行った。1例ごとに術中のメルクマールとインプラント作成時のメルクマールの修正や術創内での実際の操作性などを検討し、修正を加えている。社会情勢上、実際の手術が困難なため3Dプリンターで作成したモデルボーンにて2例の模擬手術を施工した。これまでの検討でほぼ予定通りのカスタムインプラントとデバイスの作成が可能となっており、術前計画に沿った手術が再現できるようになってきている。さらにインプラント形成のために作成したCADモデルを利用し、3D-FEMモデルを作成し力学的シミュレーションを開始した。従来型のプレートを使用した場合と比較して力学的に優れた固定性を示している。シミュレーション上ではプレートスクリューともに破断強度を超えるストレス集中はなく、強度的にもデザインに問題ないことが証明されている。CM関節用インプラントの作成に関しては、これまで6例でCADモデルを作成してきた。関節面形状のバリエーションが多く、基準点の設定や関節面とレースのためのプロトコール作りを進めた。術後の想定される肢位をCAD上で再現してから近位および遠位関節面の位置を決定し、長軸方向の荷重安定性を持たせるデザインとした。サンプルインプラントの作成を行いモデルボーンとの適合性や関節運動、ピンチ動作での安定性などを確認した。インプラントの作成プロトコールは完成し、モデルボーンを使った適合性・安定性の試験では良好な結果を得ている。手術症例への適合試験は同意を得ることができず達成できなかったが、インプラント作成プロトコールはほぼ完成し研究目標は達成したと考えている。
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