研究課題/領域番号 |
18K09025
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
安藤 圭 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (40566973)
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研究分担者 |
小林 和克 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (00706294)
今釜 史郎 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (40467288)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 自己集合体ペプチドゲル / 骨形成 / 既存薬 |
研究実績の概要 |
『超高齢化社会』に突入した我が国では、骨粗鬆症性骨折のさらなる増加が予想される。骨粗鬆症性骨折は、骨脆弱性、骨再生能低下のために、遷延治癒、偽関節、手術治療を行っても、内固定に用いた金属脱転などが生じうる。近年、骨の再生を促進する手法として、骨芽細胞等の培養細胞や多血小板血漿を患部に移植する手法が試みられている。当該細胞足場としては、例えば、ゼラチンおよびコラーゲンに代表される細胞外基質が用いられているが、ゼラチンおよびコラーゲンは、材料の供給源となる動物等により用途が限定されるという欠点がある。これに対して、本研究で用いる完全合成の自己組織化ペプチドは生体環境に近い中性のpHで十分な強度を発揮し、高い生体安全性を発揮し得る。我々はこれまで移植細胞の足場(scaffold)と予測される自己集合体ペプチドゲル(SPG-178)の有効性を明らかにしてきた(科研費若手研究(B):平成25~26年、基盤研究(C):平成27年~29年)。本研究ではこれまでの細胞移植の足場の併用効果を検証し、骨再生に対し、臨床応用の段階まですすめることを目的とする。 SPG-178と既存の人口骨との併用効果を検証した。 ラット大腿骨欠損モデルに対し、A製品+SPG-178、B製品+SPG-178、骨移植のみ、SPG-178+骨、をケージ内に移植し、2か月間の経過をみたところ、A製品+SPG-178に有意な骨形成を認めた。現在、骨形成過程におけるSEM、PCRにより骨形成マーカー、骨芽細胞の形態変化を観察している。また、SPG-178の骨再生に関する研究もすすめており、走査型顕微鏡、免疫染色により、骨芽細胞、破骨細胞の経時的変化をみることで、骨再生の際の、SPG-178内における骨芽細胞の移動、骨形成にいたる過程を現在確認している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、本品との併用効果を確認でき、メカニズムを検証中である。ラット大腿骨欠損モデルに対し、A製品+SPG-178、B製品+SPG-178、骨移植のみ、SPG-178+骨、をケージ内に移植し、2か月間の経過をみたところ、A製品+SPG-178に有意な骨形成を認めた。現在、骨形成過程におけるSEM、PCRにより骨形成マーカー、骨芽細胞の形態変化を観察している。また、SPG-178の骨再生に関する研究もすすめており、走査型顕微鏡、免疫染色により、骨芽細胞、破骨細胞の経時的変化をみることで、骨再生の際の、SPG-178内における骨芽細胞の移動、骨形成にいたる過程を現在確認している。
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今後の研究の推進方策 |
SPG-178における骨再生(形成)メカニズムを確認することで、臨床応用で、さらなる適応拡大のために、本製品の徐放性をみていきたい。具体的には、骨形成促進剤であるBMP-2(本邦で認可されていない骨形成因子)、Grafton DBM、テリパラチド(局所投与)を使用した実験をすすめている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画より少し安価で入手できたため。 また、コロナ禍で、勤務先施設からの学会出張の原則禁止、物品搬入の遅れ等も関連している。今後の使用計画について、SPG-178による骨再生のメカニズムをin vitro、in vivo両面から追求していく。具体的にはSPG-178を足場とした細胞培養後の走査型顕微鏡による、骨芽細胞、破骨細胞機能評価、BMP-2混合培養後の徐放性評価(ELISA)、in vivoでは、大腿骨欠損モデルを作成し、BMP-2、テリパラチド、ロモソズマブなどの骨牙細胞活性化因子との併用効果を確認する。
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