研究課題
脊柱靱帯骨化症(後縦靱帯: OPLL、黄色靱帯: OLF)は進行性かつ重篤な脊髄症状を生じうる疾患であり、さらには骨化形態が多様であるため個々の病態に応じた治療が求められる。しかし、現在有効な治療法は神経症状を緩和・改善させる投薬、四肢機能の維持を目的としたリハビリテーション、脊髄の圧迫を除去する外科的治療に限られており、骨化の進行を抑制する治療は未だ確立されていない。病理学的には脊柱靱帯骨化は内軟骨性骨化に準じており、骨化巣に近接して層構造からなる骨化前線が存在する。我々はこれまでOPLL由来の培養細胞を使用して研究を行っており、軟骨細胞分化、骨芽細胞分化に関与する因子であるRunx-2、Sox-9、Indian hedgehogなどの転写因子やシグナルがOPLLでは過剰に発現しており、骨化形成・進展に関与することを報告した(Spine 2013, Sci Rep 2020)。さらに、これらの発現を調節する因子の解析を目的としてmicroRNA array解析を行うと、OPLLではhsa-miR-483b-3p/down regulationが有意であった。このことはhsa-miR-483b-3pの標的因子の1つであるWnt signaling伝達物質の発現亢進を示唆しており、Wnt signalingの異常発現による骨芽細胞分化促進がOPLLの病態に関与すると考えられた(J Orthop Sci 2018)。本研究の目的は、ゲノミクス、プロテオミクスを組み合わせた観点からみたOPLL/OLF疾患関連因子を解析することである。OPLLに特異的に発現するmicroRNAの標的因子と、網羅的解析によるタンパク発現の共通点と相違点を検討することで、新しい“骨化抑制療法”の開発に向けた新しい知見を得ることができると考えている。
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Mod Rheumatol
巻: 31 ページ: 1094-1099
10.1080/14397595.2021.1883251.
Mod Rheumatol Case Rep
巻: - ページ: rxab044
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