本年度は、昨年度十分にできなかったリン酸化プルランへのヒアルロン酸の添加と細胞毒性の評価と、動物実験においてリン酸化プルランフィルムの骨再生における有用性を示す実験を行った。ヒアルロン酸の添加については細胞毒性との兼ね合いで複数の濃度での添加を行い、細胞の生存率の検討を行った。ヒアルロン酸の添加濃度と細胞の生存率の関係は検討を行うことが出来たが、実際の骨再生において、適切なヒアルロン酸の濃度の検討については、本年度に完了することはできなかったため、今後の課題と考えている。動物実験においては、マウスおよびラットの頭蓋冠の骨欠損モデルとラットの腰椎の後側方固定モデルを使用し骨形成能の検討を行った。実際に、骨欠損モデルにおいて、コントロールと比較し、良好な骨形成が得られた。また、骨形成因子であるBMP-2と骨髄幹細胞の担体として使用する実験においても、良好な骨形成を認めた。骨再生が起こっている骨欠損部の組織の遺伝子発現の検討では、骨再生系の遺伝子の発現亢進を認めた。これは細胞やBMP-2を添加していない場合でも、発現の亢進を認めていた。これらの結果から、骨再生を目的とした素材および骨再生の担体としてリン酸化プルランの有用性が確認できたと考える。遺伝子発現や組織学的な評価を行ったが、骨再生促進のメカニズムについては、結論を出せるだけの検証ができなかったため今後の課題と考える。 ここまでの研究成果を、第39回日本運動器移植・再生医学研究会と第35回日本整形外科学会基礎学術集会において学会発表を行った。また、現在論文を執筆中である。
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