研究課題/領域番号 |
18K09036
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
谷口 昇 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (20626866)
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研究分担者 |
守田 匡伸 東北大学, 医学系研究科, 講師 (10519094)
森永 秀孝 九州大学, 医学研究院, 特任助教 (70444792)
中島 利博 東京医科大学, 医学部, 教授 (90260752)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 筋内脂肪浸潤 / 異所性骨化 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、外傷後や手術後にしばしばみられ、関節の拘縮や機能低下の原因となる筋内脂肪浸潤と異所性骨化の分子メカニズムを解明することにより、それらの病態に対する新しい治療法や予防法を確立することである。候補遺伝子であるHMGB2の欠損したHmgb2-/- MSCを用いてIn vitroの系で骨分化と脂肪分化誘導を行った結果、WTと比較して骨分化が促進した一方、脂肪分化は誘導されない結果であった。脂肪分化については、HMGB2がそのマスター遺伝子であるPpargとCebpaを介して制御する可能性が示唆された。一方、軟骨分化についてはあまり影響を受けないため、内軟骨骨化による異所性骨化への関与は低いと考えられた。 またIn vivoの系では、成熟期にHMGB2を筋内に欠失させた際の筋内脂肪浸潤もしくは異所性骨化の出現程度を検討するためには、骨格筋特異的なHMGB2 KOモデルが有用であり、CRISPR/Caシステムを用いて翻訳開始地点を含む第2エキソンから第4エキソンまでを欠損させた条件付きKOマウスを現在作製中である。これにMyoD-Creマウスを交配することにより、最終的に組織特異的なHMGB2 KOモデルを作製し、筋肉内の異所性骨化と異所性脂肪浸潤の程度を評価する予定である。このHMGB2条件付きKOマウスは、PRG4-Creマウスを交配することにより、加齢依存性変形性関節症の候補蛋白と申請者が以前報告したHMGB2の関節軟骨における機能解析にも使用可能である(Taniguchi et al. PNAS 2008)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
In vitroの研究については、WT MSCとHmgb2-/- MSCを用いて、脂肪分化と骨分化のHMGB2を介した分子メカニズムの解明が進んでいる。In vivoの研究においては、マウス肩腱板断裂モデルの棘上筋を用いてHMGB2発現の経時的変化に加えて、筋内脂肪浸潤におけるWntの役割も解析中である。また、現在骨格筋特異的なHMGB2 KOマウスモデルの作製もゲノム編集法を用いて引き続き作製している。
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今後の研究の推進方策 |
上記In vitroの実験に加え、マウスHMGB2の新規遺伝子改変マウスの製作および解析を進める。また、HMGB2過剰発現系としてHMGB2 Tgモデルの作製まで予定している。具体的には、Rosa locusにマウスHMGB2cDNAを挿入したRosa-HMGB2マウスをRISPTR/Casシステムによるノックイン法を用いて作製する。Mlc1f-CreマウスとRosa26-HMGB2マウスを交配して、tamoxifen誘導することにより,筋肉特異的なHMGB2過剰発現が可能で、この影響による筋内脂肪浸潤と異所性骨化について解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物モデル解析等、最終年度の実験に費用がかかることが予想されるため、持ち越しとした。
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