整形外科下肢手術において無血野確保・失血抑制の観点からターニケット装着は一般的な手技である。一方、その装着が深部静脈血栓症(DVT)に引き続く肺動脈血栓症(PE)リスクレベルを上げるかどうかについては論争が多くその機序に関する実験的研究は渉猟し得ない。そこで家兎後肢にターニケットを装着し深部静脈血栓症を作成した。ラット下大静脈結紮法による静脈血栓形成過程では血漿antithrombin値はbaseline control群に比して有意に増加していたが、今回DVT群ではそれは認められなかった。血漿D-dimer値は血栓形成群において0.2μg/mlと有意に増加していた(P=0.00015)。
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