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2018 年度 実施状況報告書

OSTNが仲介する骨膜依存的な海綿骨形成機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K09050
研究機関国立研究開発法人国立循環器病研究センター

研究代表者

高野 晴子  国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 研究員 (40532891)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード骨芽細胞分化 / 骨膜 / ホルモン / ナトリウム利尿ペプチド / 骨代謝 / 海綿骨
研究実績の概要

OSTNは分泌性因子で骨膜に特異的に発現する。OSTN-KOマウスでは皮質骨だけでなく、海綿骨量の減少も認めたが、この表現型は骨膜の異常のみで単純には説明できない。そこで本研究では、上記の発現部位と表現型の乖離を説明する機構として①細胞性経路と②血行性経路の二つの可能性について検証し、さらにいずれの経路においても鍵となる③皮質骨血管の解剖学的詳細を明らかにすることを目指している。
本年度は計画②の細胞性経路の検証として以下の事柄を検証した。
A) OSTNはC-type Natriuretic peptide (CNP) シグナルを増強するので、CNPシグナルの増強が骨系譜への運命決定を促進するかを明らかにした。間葉系未分化細胞を含む骨膜細胞をモデルとして用い、CNPを過剰投与することによってALP活性の上昇やCa沈着が増強することがわかった。また、骨芽細胞マーカーのCollagenIやOsterixの発現上昇も認められた。さらにOSTNを添加することで、cGMPの産生増加を伴ったCNP依存の骨芽細胞分化が促進されることがわかった。したがって、CNP-OSTNは協調的に間葉系細胞から骨芽細胞への分化を誘導していると結論づけた。
B) CNPシグナルの減弱がOSTN-KOマウスの骨量減少を説明するかを明らかにするために、OSTN-KOと血清アミロイドPプロモーター下でCNPを過剰発現するSAP-CNPマウスを交配し、骨量比較を行った。しかし予想外なことに、SAP-CNPマウス自体に骨量減少が認められた。この原因は未だ不明だが、CNP依存的に骨芽細胞分化が促進された結果、骨代謝バランスによって破骨細胞が増強した可能性や破骨細胞がCNPの直接的な標的細胞となっている可能性が考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、マウス系統準備の都合上、来年度の計画と入れ替えて行った。しかし、本計画に含まれるin vitroの解析をほぼ終了しており、順調に進行している。

今後の研究の推進方策

近年の骨研究の目覚ましい発展に伴い、本研究計画も変更を必要としている。
計画1の骨膜骨芽細胞をラベルする方法として大きな変更が必要である。先日、カテプシンK (Ctsk) プロモーターでラベルされる骨膜細胞が、骨膜の幹細胞の一つとされ、成長期の皮質骨形成や骨折治癒に寄与していることが報告された[Nature, 562, 133-139 (2018) ]。我々はこのマウスをすでに入手し、Ctsk-Cre依存性にOsterixを欠損させたマウスを作成し、海綿骨の形成について詳細に解析する必要があると考えている。さらに、我々はCNPの標的であるNPR3を発現細胞が骨膜の幹細胞である可能性を指摘している。したがって、NPR3発現細胞とCtsk-Creでラベルされる骨膜幹細胞との関係性を詳しく解析する予定である。
計画4の骨血管の解剖学的詳細を明らかにするについても皮質骨血管を詳細にイメージングした報告があり、動脈では80%、静脈では59%の血液が皮質骨を通過していることが明らかになっている [Nature Metabolism,1, 236-250 (2019) ]。しかし骨膜の血管については、未だ明らかでは無い。そこで骨膜イメージング法を立ち上げ、OSTN発現細胞と骨膜血管との関係性を具体的に明らかにする予定である。

次年度使用額が生じた理由

本年度は研究所の移転などにより、使用予定であったマウスの搬入が延期となったため、次年度に繰越すこととした。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Osteocrinは長管骨形成を制御する骨膜ホルモンである2018

    • 著者名/発表者名
      高野晴子
    • 学会等名
      第36回日本骨代謝学会学術集会

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公開日: 2019-12-27  

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