研究課題
OSTNは分泌性因子で骨膜に特異的に発現する。OSTN-KOマウスでは皮質骨だけでなく、海綿骨量の減少も認めたが、この表現型は骨膜の異常のみで単純には説明 できない。そこで本研究では、上記の発現部位と表現型の乖離を説明する機構として1細胞性経路と2血行性経路の二つの可能性について検証し、さらにいずれ の経路においても鍵となる3骨血管の解剖学的詳細を明らかにすることを目指している。 本年度は(A)計画2の血行性経路を明らかにするためのin vitroの解析、(B)計画3の骨膜血管の解剖学的詳細を検証した。A) OSTNはC-type Natriuretic peptide (CNP) シグナルを増強するので、CNPシグナルの増強が骨系譜への運命決定を促進するかを間葉系幹細胞のモデル培養細胞であるC3H10T1/2細胞を用いて明らかにした。骨膜細胞と同様に、C3H10T1/2細胞を用いても、CNPを過剰投与することによってALP活性の上昇やCa沈着が増強することがわかった。し たがって、CNPは骨髄内においても間葉系細胞から骨芽細胞への分化を誘導している可能性があると考えられる。B) 骨膜血管の解剖学的詳細は未だ明らかになっていないことから、whole-mountで骨膜血管を免疫染色し、イメージングを行なった。血管内皮細胞マーカーであるCollagenIVやCD31により骨膜血管を染色したところ、非常に興味深いことにCollagenIV陽性の血管とは異なるロープ状の構造を見出し、この構造にOSTNが発現していることを明らかにした。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
NPJ. Microgravity
巻: 8 ページ: 2
10.1038/s41526-020-00130-8.