本研究課題では、滑膜肉腫の転移に対して有効な治療法として、低用量HDAC阻害剤とイリノテカン(もしくはその代謝産物SN38)を併用することで、転移巣でもMICA/Bの発現を回復させ、NK細胞による腫瘍免疫反応により細胞死を誘導することを提案した。いずれの薬剤もいくつかのがんで承認されているものであることから、滑膜肉腫治療における臨床応用へのハードルは高くないと推測される。これまでに、滑膜肉腫の転移を抑制する、転移巣に於いても有効に作用する化学療法はほとんど無いため、本研究の成果は臨床応用への重要な礎になると期待される。
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