研究課題/領域番号 |
18K09052
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
森 優 東北大学, 大学病院, 助教 (70634541)
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研究分担者 |
花田 修治 東北大学, 金属材料研究所, 名誉教授 (10005960)
正橋 直哉 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (20312639)
森 菜緒子 東北大学, 大学病院, 助教 (90535064)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 低弾性率チタン合金 / 応力遮蔽 / 骨癒合促進 / 骨折治癒 / 人工股関節置換術 |
研究実績の概要 |
従来のTi6Al4V合金は高強度、高耐久性、毒性・アレルギー性の排除を満たした優れた整形外科インプラントの金属材料ではあるが、弾性率が110GPaと骨皮質(10~30GPa)に比べて高弾性率であり、皮質骨との弾性率の乖離が問題となる。その結果引き起こされる応力遮蔽による骨癒合の遷延や、手術後の大腿部痛、骨萎縮は深刻な問題である。我々が開発したTiNbSn合金は45GPaの低弾性率チタン合金であり、加熱処理により強度を加工できる優れた新規材料である。本研究の目的は、低弾性率チタン合金インプラントによる応力遮蔽抑制効果と骨癒合促進効果の検証である。具体的には、Ti6Al4V合金と比較して①イヌを用いたTiNbSn合金人工股関節モデルで応力遮蔽抑制効果を検証する、②ウサギ脛骨骨折TiNbSn合金プレートモデルで骨癒合促進効果を検証することである。 低弾性率チタン合金であるTiNbSb合金のプレートの開発を行い、ウサギ脛骨骨折モデルにおいてTiNbSn合金プレートとTi6Al4V合金プレートの骨癒合の解析をCT像、組織学的評価により比較検討を行っている。今後、TiNbSn合金プレート群とTi6Al4V合金プレート群それぞれで骨破断強度試験を行い、骨折治癒後のウサギ脛骨の骨強度を比較検討する予定である。またTiNbSn合金イヌ人工股関節モデルとTi6Al4V合金人工股関節モデルでの応力遮蔽抑制効果の検討について、イヌ大腿骨の荷重モデルの検証を行い、TiNbSn合金の弾性率を45GPa、Ti6Al4V合金の弾性率を110GPaに設定し、有限要素解析にて大腿骨、チタン合金ステムにかかる応力とひずみエネルギー密度分布の解析を行っている。今後実際の人工股関節置換術後のイヌ摘出骨での組織学的検討での骨萎縮の所見と有限要素解析での応力遮蔽の抑制の結果の合致について検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
低弾性率チタン合金であるTiNbSn合金の骨折治療用のプレート作成が計画通りに進行したため、ウサギ脛骨骨折モデルの検討が順調に進展している。また、イヌ大腿骨の有限要素分析についても、イヌ荷重モデルの検証が順調に進行しており、TiNbSn合金ステムとTi6Al4V合金ステムの比較検討も順調に遂行されている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、低弾性率チタン合金であるTiNbSn合金プレート群とTi6Al4V合金プレート群それぞれで骨破断強度試験を行い、骨折治癒後のウサギ脛骨の骨強度を比較検討する予定である。またTiNbSn合金イヌ人工股関節モデルとTi6Al4V合金人工股関節モデルでの応力遮蔽抑制効果の検討については、実際の人工股関節置換術後のイヌ摘出骨での組織学的検討での骨萎縮の所見と有限要素解析での応力遮蔽の抑制の結果の合致について検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
Ti6Al4V合金のスクリュー、プレートが再利用が可能であることから、それぞれの購入額が当初の計画よりも少なくなった。実験計画の進行に合わせて2年目以降に追加購入をする予定である。
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