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2019 年度 実施状況報告書

骨形成因子BMP2による半月板の恒常性の分子機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 18K09056
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

古賀 英之  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (30594080)

研究分担者 辻 邦和  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 寄附講座准教授 (20323694)
関矢 一郎  東京医科歯科大学, 統合研究機構, 教授 (10345291)
宗田 大  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (50190864)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード半月板 / BMP2 / BMP4 / BMP7 / 円板状半月板
研究実績の概要

半月板は関節機能の維持に必須の組織であるにも関わらず、その発生並びに恒常性の分子機序はほとんど解析されていない。私たちのこれまでの研究から、骨形成因子(BMP, Bone Morphogenetic Protein)ファミリーに属する分子BMP2を半月板形成期に欠失させると半月板形成に異常をきたすことを明らかとしている(Tsuji et al, Nature Genetics, 2006)。そこで本研究では、半月板におけるBMP2の情報伝達経路を詳細に解析し、その形態形成、成熟、恒常性及び損傷後修復のプロセスにおける分子機能を明らかとすることを目的としている。私たちは、発生過程における関節形成初期に、四肢の間葉組織特異的に骨形成因子BMP2を欠損させる(Bmp2c/c;Prx1::cre)と、100%の確率でヒトの円板状半月板に類似した形態異常が観察されることを示した。本研究において、Bmp2c/c;Prx1::creマウスにおける半月板組織の形成過程を組織学的に観察したところ、軟骨分化(成熟)のプロセスがほぼ完全に阻害されることを発見した。すなわち、これら欠損マウスでは胎生17日前後に半月板の予定領域に細胞の集積が観察されるが、それらは軟骨細胞への分化が観察されず、細胞外基質へのプロテオグリカンの蓄積も観察されなかった。一方で発生過程における関節形成初期に、四肢の間葉組織特異的に骨形成因子BMP4またはBMP7を欠損させたマウス(Bmp4c/c;Prx1::cre, Bmp7c/c;Prx1::cre)では、半月板の形成に異常は観察されなかった。以上の結果は、半月板形成過程においてBMP2が必須かつ特異的な生理機能を有すること、形態的にはヒトの円板状半月と類似しているが、ヒトの病態とは異なることを示唆している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度、半月板形成過程におけるBMP関連分子の時空間特異的発現を検討することを予定していたが、未だ実験条件の検討段階である。一方で、BMPファミリーに属する他の分子(BMP4および7)の表現系解析を行ったことで大きな進捗はあったことから、全体的に見てプロジェクトの進捗は得られていると考えている。

今後の研究の推進方策

本年度は主に以下の2点に関して、継続して検討を行う。
(1)半月板形成過程におけるBMP2及びその受容体分子(Alk3, Alk6, BmpRII, ActRIIa, ActRIIb)の時空間的発現解析。BMP2欠損マウスにおいて観察された半月板の形態異常の機序を解析するにあたって、半月板形成過程においてどの時期にどの場所でBMP2及びその受容体が発現しており、どの細胞がシグナルを受け取っているかを同定することは非常に重要である。この考えから、野生型マウスの膝関節を用いて、胎生15.5, 16.5, 18.5, 生後0, 1, 2, 3, 4週の半月板領域におけるこれらリガンド、受容体分子の発現をIn Situ Hybridization法を用いて解析を行う。また、BMP2シグナルを受け取っている細胞の同定はSmad1分子のリン酸化抗体を用いた免疫組織染色法を用いる。
(2)半月板形成(成熟)過程においてBMP2により制御される標的遺伝子の同定。BMP2による半月板形成の分子機序を解析するため、胎生15.5, 16.5, 18.5, 生後0, 1, 2, 3, 4週の野生型及びBMP2欠損マウスの半月板からLaser Capture Microdissection法を用いて組織を回収し、そこからRNAの採取を行う。Microarray法を用いて、野生型とBMP2マウスの間で発現量の異なる遺伝子の同定を行う。さらにその中から重要と思われる遺伝子のピックアップを行い、項目1と同様の実験を行なって、半月板の形成過程における遺伝子発現のカスケードの解析を行う。

次年度使用額が生じた理由

年度後半において、トランスジェニックマウスのコロニーの拡大に時間がかかり、動物実験に関わる費用の計上が予定より少額となった。次年度使用計画に取り入れる予定である。
年度後半において遺伝子発現解析の実験条件の決定に時間がかかり、予定額を下回った。次年度使用計画に取り入れる予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Fibrotic changes in the infrapatellar fat pad induce new vessel formation and sensory nerve fiber endings that associate prolonged pain.2020

    • 著者名/発表者名
      Onuma H, Tsuji K, Hoshino T, Inomata K, Udo M, Nakagawa Y, Katagiri H, Miyatake K, Watanabe T, Sekiya I, Muneta T, Koga H
    • 雑誌名

      J Orthop Res.

      巻: In press ページ: in press

    • DOI

      10.1002/jor.24580

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Synovial fluid-derived mesenchymal cells have non-inferior chondrogenic potential and can be utilized for regenerative therapy as substitute for synovium-derived cells.2020

    • 著者名/発表者名
      Amemiya M, Tsuji K, Katagiri H, Miyatake K, Nakagawa Y, Sekiya I, Muneta T, Koga H.
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun

      巻: 523 ページ: 465-472

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2019.12.068

    • 査読あり

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公開日: 2021-01-27  

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