研究実績の概要 |
本研究では、RAGEによってmiR-34aの発現が抑制され、その結果、SOX2、NANOG、MYCの発現が亢進し、がん幹細胞様の性質を獲得することを明らかにすることを目的とし、2018年度はHOS-RAGE細胞株にmiR-34aを発現させることによりSpheroidの形成能とc-MYCの発現が、コントロール(HOS-mock株)よりも有意に低下することを確認した。2019年度は、HOS-RAGE株においてWnt-5a,14,15の発現がHOS-mock株よりも有意に高いことがreal-time PCRで確認され、Wnt-5aのAntagonistであるIWR-1を添加するとスフェロイドの形成能が阻害され、さらに、siRNAでWnt-5aを阻害すると同様にスフェロイドの形成能が阻害されたことを確認した。 2020年度は以下の解析を行った。 1.HOS-RAGE株に合成miR-34aを投与するとmiR-34aの発現が有意に亢進し、Wnt5aとc-MYCの発現が有意に低下し、miR-34aによってWnt5aとc-MYCの発現が制御される可能性が示された。2.HOS-RAGE株に合成miR-34aを投与すると、スフェロイドの形成能が阻害され、細胞のフェノタイプが変化することが確認された。3.腫瘍組織(手術検体)におけるmiR-34aの発現を、昨年と試薬を変更してIn-situ-hybridizationを実施し、腫瘍細胞とその間質および周囲の細胞にmiR-34aのシグナルが検出された。さらに、Wnt5aとRAGEの免疫染色を実施し陽性像が確認された。検体を増やして解析を進めている。4.HOS-RAGE株とHOS-mock株におけるPD-L1の発現を蛍光免疫染色にて確認し、HOS-RAGE株で強い発現が確認され、免疫細胞を含めた微小環境にも作用している可能性が示された。
|