研究課題/領域番号 |
18K09059
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
平井 貴之 福井大学, 学術研究院医学系部門, 特別研究員 (30569132)
|
研究分担者 |
中嶋 秀明 福井大学, 学術研究院医学系部門, 講師 (10397276)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 脊髄損傷 / CCL21 / pltマウス / 神経障害性疼痛 / M1 / M2 / ミクログリア / マクロファージ |
研究実績の概要 |
CCL21欠損マウス(pltマウス)脊髄損傷モデルを用いて、CCL21の脊髄損傷後疼痛の治療ターゲットとしての可能性を検討した。pltマウス、C57BL/6マウスを用いて胸髄圧挫損傷モデルを作成し、損傷後4日、14日、28日目に行動学的評価、損傷部および腰膨大部での組織学的評価、Western blotting、Flowcytometryを行い比較検討した。 BMS scoreを用いた運動機能評価では有意差を認めなかったが、von Frey test、planter testによる疼痛関連評価では、pltマウスで有意な疼痛閾値の上昇を認めた。蛍光二重免疫染色では、損傷部位および腰膨大部のCD11b+ / iNOS +細胞(M1 type)は、plt マウスで4日目および14日目で有意に抑制されていた。CD11b + / CD206 +細胞(M2 type)には有意差を認めなかった。 western blotting では、M1 typeを誘導するTNF-α、IFN-γ発現は、pltマウスにおいて有意な低下を認めた。M2 typeを誘導する IL-4とIL-10の発現には、両群で有意差を認めなかった。 flowcytometryでは、pltマウスにおいて、M1 typeマクロファージの有意な減少を認めた。M2 typeマクロファージは両群ともに細胞数が非常に少なく有意差を認めなかった。 本研究の結果から、CCL21は、M2 typeの走化性に影響を与えることなく、M1 typeのマクロファージの走化性のみを誘導することが示された。損傷部の炎症の減弱は腰膨大部への炎症の波及低下にもつながり、脊髄損傷後のNePが抑制されたと考えられる。CCL21発現を抑制することが、脊髄損傷後早期に介入可能な効果的なNeP予防のための薬物標的となりうることを実験的に示唆している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CCL21欠損マウスにおける疼痛閾値の上昇とその病態について検討することができ、当初の計画通り進捗している。
|
今後の研究の推進方策 |
CC21発現抑制による神経障害性疼痛抑制効果について検討を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
補助事業の誠実な執行に努めた結果、当初計画より経費の使用が節約できたことにより未使用額が生じた。
当該未使用額を次年度に持ち越して追加の試薬・抗体・消耗品等購入する。
|