研究課題
骨巨細胞腫 (giant cell tumor of bone: GCTOB)の腫瘍細胞に関して、骨芽細胞のlineageを有していることが近年数多く報告されている。当院にてdenosumab投与を施行したGCTOB症例16例を対象とした。各症例に対して、denosumab投与前後のCT parameterをimage Jを用いて定量化した。また、denosumabを投与する以前の標本でβカテニンの免疫染色を行い、核内発現の強度を評価し、CT parameterとの関連について検討した。次に患者検体よりprimary cultureを樹立し、骨芽細胞への分化誘導を試みた。更にβカテニンの核内発現との関連やそのメカニズムをqPCRやALP assay、蛍光免疫染色、Western blottingなどを介して解析した。最終的に、implantによる評価困難例2例とサンプル不良例2例を除く12例を評価の対象とした。12例中βカテニンの核内強発現例 (n=6) と弱発現例 (n=6) とでCT parameterを比較検討した結果、強発現例にてSkewness (p=0.046), Contrast (p=0.010), Entropy (p=0.015) などのparameterの有意な上昇を認めた。Primary cultureはGCTOBに特異的なHis3.3G34W mutation陽性の腫瘍細胞であり、骨分化誘導にて非可逆的な骨芽細胞への分化と、ALPの有意な上昇を認めた。また、分化に伴うβカテニンの核内発現はその核内移行を抑制するGGTI-286にて有意に阻害され、ALPの発現についても濃度依存的に抑制された。GCTOBは骨芽細胞のlineageを有しており、分化にはβカテニンの核内移行が必須と考える。
2: おおむね順調に進展している
上述のように、既に投稿準備を行っている結果が得られている。
今後はさらに症例数を増やして検討を重ねるとともに、同様の手法を、他の組織型にも応用して解析を進める。得られた結果を速やかに、論文として公表する予定である。
実験に必要な消耗品費が想定よりも少額であったため。次年度の消耗品費へ繰り越して使用予定する
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
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