研究課題
軟部肉腫においては、使用可能な薬剤は限定されており、薬剤耐性化が生じる前に、Precision Medicineのアプローチを用いて、Pro-active (先取り)な手段を講じ、耐性化を克服する治療法を開発することが、既存のリソースを用いた、軟部肉腫の予後改善にとって最も有効と予想される。本年度は、進行軟部肉腫に対する新規治療薬選択における末梢血免疫関連マーカーの有用性について検討した。新規治療薬の使用経験のある進行軟部肉腫患者48例(男性25例, 女性23例, 平均年齢61.2歳(20-82歳))を対象とした. 新規治療薬3剤のうち初めに投与した薬剤に基づき、症例を3群(エリブリン28例、トラベクテジン4例、パゾパニブ16例)に分類した。1コース目投与前の血液検査結果をもとに, リンパ球数(ALC)、好中球リンパ球比(NLR)、血小板リンパ球比(PLR)などの末梢血免疫関連マーカーを評価した。 Cut-off値をNLR=3.0, ALC=1500, PLR=200とし, overall survival (OS), progression free survival (PFS)との相関を比較検討した.その結果、PFSに関しては、すべての項目において末梢血免疫関連マーカーとの相関を認めなかった。OSに関しては、エリブリン初回投与群のみで、PLR低値群では高値群よりOSが延長していた(744日 vs 393日, p=0.043). また、エリブリン初回投与群と他薬剤初回投与群それぞれのPLR低値群を比較すると、エリブリン初回投与群にOSの延長を認めた(744日 vs 579日, p=0.030). 即ち、PLR低値群では、エリブリンを最初に用いることでOSの延長が得られる可能性がある。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件)
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