研究課題
成熟骨芽細胞から産生される非コラーゲン性蛋白であるオステオカルシン(osteocalcin : OC)は、ビタミンK存在下でGla化され、このGla残基を介してリン酸カルシウム結晶と結合し骨基質石灰化に関与すると考えられている。近年、Karsentyらにより作製されたOC KOマウスでは、骨形成が亢進、骨量および骨強度が増加、体重増加と耐糖能異常をきたし、精巣でのテストステロン産生低下によりオスの生殖能が低下すると報告されている。私は、オステオカルシンが骨量形成を抑制するメカニズムに興味を持ち、当教室で作出されたOC KOマウスの解析を行ってきた。平成30年度においては、当方のOC KOマウスは海綿骨骨量・皮質骨厚・骨形成・骨吸収について、野生型マウスと差を認めない結果を報告した。そして、令和元年度においては、グルコース代謝に異常は無いことを報告した。令和2年度は、OC KOマウスの精巣について、精巣重量、精子数、血清テストステロン濃度、テストステロン産生に関わる遺伝子発現、異常精子頻度、精上皮のTUNEL陽性細胞頻度を解析し、筋肉については、大腿四頭筋、腓腹筋、ヒラメ筋、長指伸筋の重量、大腿四頭筋の筋繊維断面積の解析を行った。その結果、OC KOマウスは野生型マウスと差を認めなかった。また、骨基質のコラーゲン線維・アパタイト結晶 (biological apatite:BAp)の配向性について、14, 36週齢の長管骨を用い解析を行ったところ、野生型マウスと同様にOcn KOマウスのコラーゲン線維は骨長軸方向に配向し、BAp結晶サイズも差を認めなかったが、Ocn KOマウスのBApはランダムに配向し、コラーゲン配向に対してのBAp配向の追従性が野生型マウスより著明に低下し、骨長軸方向のヤング率も低下していた。
すべて 2020
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PLoS Genet .
巻: 28;16(5) ページ: e1008939
10.1371/journal.pgen.1008586