研究実績の概要 |
Cam-type femoroacetabular impingement (FAI) に対する鏡視下骨軟骨形成術を行う際、股関節鏡の限られた視野で適切な骨切除を行うことは時に困難を伴う。この問題に対し、我々はこれまでにCT based navigation併用に関して報告してきた(Kobayashi et al.,Arthrosc Tech. 2018)。しかし、鏡視下の操作は自由度が少なく、不十分な視野の下ではnavigation支援下においても正確な骨切除が困難な箇所も存在し得る。本研究の目的は、navigationを併用した鏡視下骨軟骨形成術の精度を3次元的画像解析により評価することである。 【方法】対象は当施設でnavigation併用鏡視下骨軟骨形成術を行った20例(男性14例:女性6例)。 術後CT画像を用い、骨切除の誤差やその方向、および位置を3次元画像解析を行って測定した。患側大腿骨頚部軸に垂直なCT再構成画像を作成し、近位から遠位にむけて4枚の再構成画像上で計測を行った。再構成画像を頸部軸が通る点を基準点とし、CT画像上の骨表面とnavigationガイド用STLモデルの輪郭の差を放射状に計測した。切削不足(under resection: UR)は負、過剰切削(over resection: OR)は正の距離とした。 【結果】切削部位はほぼ全て、頚部前方の12時~6時の範囲に含まれていた。骨頭中心から最遠位に設定した平面において、URの頻度がORよりも多く認められた。その他の平面では、ORとURの頻度はほぼ同一であった。3mm以上のORは2時から3時方向で多い傾向があった。最大ORは6.5mm、最大URは5.1mmであった。 Navigationを併用した術式であっても、頚部遠位側では、計画に対して切削不足になりやすいことが示唆された。臨床的には特に頚部遠位側において十分な視野展開のもと切除することが重要と考えられる。 以上の結論について英文論文を作成し投稿予定である。
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