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2019 年度 実施状況報告書

変形性膝関節症の滑膜炎の機序解明と制御

研究課題

研究課題/領域番号 18K09083
研究機関順天堂大学

研究代表者

金子 晴香  順天堂大学, 医学部, 講師 (50445516)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード滑膜炎 / 変形性膝関節症 / 骨棘 / 炎症性メディエーター / 軟骨下骨
研究実績の概要

本研究は,膝OAにおける滑膜に発現するプロテオグリカンであるパールカンの機能の詳細および軟骨下骨や骨棘病変との関連を分子レベルで解明し, 膝OAの滑膜炎を制御しうる分子を探索することを目的とする. 膝OAマウスモデルを用いて,下記実験を計画した. ①パールカンの発現の有無による滑膜の炎症性メディエーターの発現の違いの検出.②炎症性メディエーターと軟骨下骨及び骨棘の変化を評価. ③軟骨下骨及び骨棘の変化に寄与する炎症性メディエーターとパールカンの機能解析.④標的分子による膝OAの治療効果の検討.
2018年度は,膝OAモデルを作成したマウスにおいて,滑膜パールカンが欠損すると組織学的滑膜炎がコントロールに比べ強く,TNFα, TGFβ, CCL21, VEGF,CD31などの炎症性メディエーターも上昇することを示した. 2019年度は以下の結果を得た. 膝OAモデルを作成したマウス1週において, マクロファージのマーカーであるCD68およびCCR3が滑膜欠損マウスの滑膜において発現が上昇していた.また,関節近傍の骨棘様の滑膜および軟骨組織の凝集は小さく, 分化は抑制されていた. 次に, 軟骨形成に係わるTGFβに注目し, 以下の実験を行った. 滑膜パールカン欠損マウスおよびコントロールマウスより採取した滑膜をTGFβで刺激し, 下流シグナルをウエスタンブロットで解析したところ, 滑膜パールカン欠損マウスの滑膜において, p-Smad2/3の発現が低下しており, 滑膜パールカンが欠損することによるTGFβの下流シグナルが抑制されていた. 膝OAモデルによる滑膜パールカン欠損マウス滑膜炎はTGFβシグナルが入らないことによるネガティブフィードバックの可能性が考えられる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2018年度の遅れを取り戻し, 順調に実験は進行しており, 継続して有意義な結果を得ている. 一部予算の使用に関して, 2018年度の遅れ分は未だ残存している.

今後の研究の推進方策

膝OAにおける滑膜に発現するプロテオグリカンであるパールカンの機能の詳細および軟骨下骨および骨棘病変との関連を分子レベルで解明し, 膝OAの滑膜炎をはじめとする病態を制御しうる分子を探索することを目的とし,昨年の結果にもとづき,TGFβとそれを産生しうるマクロファージを中心に実験を行う. 滑膜パールカン欠損マウスを用いて,マクロファージと滑膜炎, 軟骨下骨, 骨棘の病態の解析を行う. さらには,マクロファージや炎症性メディエーター制御による膝OAの治療効果の検討を行う.

次年度使用額が生じた理由

2018年度の実験室の移動およびマウスの移動に伴い, 使用可能マウスが生まれなかったことにより実験の遅延が起こった. そのため, 2019年度も当初の実験に滞りが生じて一部予算の次年度繰り越しとなった. 現在実験は順調に進んでいる. また, 2019年後半の予定学会が中止になり予算の繰り越しも生じた. 本年度は, 一部本年度に繰り越されているマウスに対する治療効果実験により繰り越し予算を使用予定である. 2020年度予算は, 実験の遂行および業績のまとめのために使用する.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Implication of HYBID (Hyaluronan-Binding Protein Involved in Hyaluronan Depolymerization) in Hyaluronan Degradation by Synovial Fibroblasts in Patients with Knee Osteoarthritis.2020

    • 著者名/発表者名
      Shiozawa J, de Vega S, Cilek MZ, Yoshinaga C, Nakamura T, Kasamatsu S, Yoshida H, Kaneko H, Ishijima M, Kaneko K, Okada Y.
    • 雑誌名

      American Journal of Pathology

      巻: 190 ページ: 1046-1058

    • DOI

      10.1016/j.ajpath.2020.01.003.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Bone marrow lesion is associated with disability for activities of daily living in patients with early stage knee osteoarthritis.2019

    • 著者名/発表者名
      Sadatsuki R, Ishijima M, Kaneko H, Liu L, Futami I, Hada S, Kinoshita M, Kubota M, Aoki T, Takazawa Y, Ikeda H, Okada Y, Kaneko K.
    • 雑誌名

      Journal of Bone and Mineral Metabolism

      巻: 37 ページ: 529-536

    • DOI

      10.1007/s00774-018-0950-z

    • 査読あり
  • [学会発表] Role of synovial perlecan in osteophyte formation in early stage knee osteoarthritis.2019

    • 著者名/発表者名
      Arita H, Kaneko H, Kinoshita M, Hada S, Sadatsuki R, Futami I, Negishi Y, Momoeda M, Liu L, Aoki T, Arikawa-Hirasawa E, Kaneko K, Ishijima M.
    • 学会等名
      OARSI2019
    • 国際学会
  • [学会発表] 早期変形性膝関節症の骨棘形成における滑膜に発現するperlecanの機能解析.2019

    • 著者名/発表者名
      有田均,金子晴香,木下真由子,羽田晋之介,定月亮,根岸義文,百枝雅裕,;劉立足,平澤恵理[有川],金子和夫,石島旨章.
    • 学会等名
      第34回日本整形外科学会基礎学術集会
  • [学会発表] 変形性膝関節症新規バイオマーカー・コラーゲン由来糖鎖修飾ヒドロキシリジンの有効性評価 診断能の検討.2019

    • 著者名/発表者名
      金子晴香,石島旨章,田中智美,多賀祐喜,平澤恵理[有川],田中啓友,水野一乘,楠畑雅,服部俊治,金子和夫.
    • 学会等名
      第34回日本整形外科学会基礎学術集会
  • [学会発表] 末期変形性膝関節症のビタミンD充足状態と脛骨近位関節面傾斜角の関連.2019

    • 著者名/発表者名
      金子晴香,石島旨章,有田均劉立足,根岸義文,百枝雅裕,齋田良知,高澤祐治,池田浩,金子和夫.
    • 学会等名
      第11回日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会

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公開日: 2021-01-27  

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