研究課題/領域番号 |
18K09085
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
吉田 衛 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (10266702)
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研究分担者 |
舟崎 裕記 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (70199412)
丸毛 啓史 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (70199925)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 多血小板血漿 / 腱症 / 血小板濃度 / 動物モデル |
研究実績の概要 |
アキレス腱症等の腱付着部症・腱症に対し、自己多血小板血漿(PRP)治療が施行されるが、その臨床成績・有効性は、施設や症例間で異なる。この原因として、使用されるPRP精製キットが異なり、PRP中の血小板濃度が、施設間で有意に異なることが考えられる。本症の治療において、最大の有効性が得られる至適血小板濃度は、未だに不明であり、本研究では、付着部腱症の動物モデルを作成し、最大治療効果の得られる至適血小板濃度を解析した。 実験方法は、まず、11週齢の雄のウイスターラットの、両側のアキレス腱踵骨付着部に、300 IU/mLの濃度に調整したコラゲナーゼ溶液を、各肢50μLずつ注射し、付着部腱症の動物モデルを作製した。同種ラットの全血を採取し、Kaylight社製MyCellsを用いて、血小板濃度約150万/μLのPRPを精製し、血小板濃度の異なるPRPを調整した。白血球中の好中球は、セパレーションゲルにより、約90%除去した。アキレス腱症ラットの自発運動量が最大に低下するコラゲナーゼ注射10日後に、両側アキレス腱付着部に、生理食塩液(コントロール群)、血小板濃度50万/μLのPRP(50群)、血小板濃度75万/μLのPRP(75群)、血小板濃度100万/μLのPRP(100群), 血小板濃度150万/μLのPRP(150群)を、各肢50μLずつ、各群8匹に注射した。PRP注射後、疼痛の指標となる夜間12時間の自発運動量を、二日おきに18日間測定した。 結果。75群と100群のラットの自発運動量は、PRP注射後2日目でほぼ健常レベルに回復し、その後18日間維持され、50群、150群、コントロール群の運動量と比較し有意に大きかった。75群の自発運動量は、100群の運動量と比較し、注射後8日目から15日目まで有意に大きかった。至適血小板濃度は、75-100万/μLの範囲と判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本実験・研究は、当初の計画通りに施行することができ、十分な結果が得られている。研究方法は、本研究を行う以前に、何度か施行し、実績のある方法を選び施行しているので、予期せぬトラブルや進行の遅れなどはなく、計画通りに滞りなく進行している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、当初の計画通りに進行しており、次年度は、計画通りに、組織標本を採取し、組織学的検索を行う予定である。組織標本の作製や染色などの作業については、本研究以前にすでに行い、実績と経験のある方法であることから、予期せぬトラブルの発生などは考えにくいが、遺伝子発現の解析などの方法については、比較的、困難な作業があるため、慎重に計画を進める予定である。
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