研究実績の概要 |
我々は平成30年度研究計画書に沿って転移性骨腫瘍の長期機能予後・生命予後を調査している。データベースに登録した計222例の転移性脊椎腫瘍患者のうち、治療介入前から介入後5年までの追跡が可能であった80例を対象に解析を行った。この一年で32例が亡くなった。内訳は肺がん 21例、大腸がん10例、乳がん14例、前立腺がん13例、胃がん3例、腎がん6例、甲状腺がん3例、子宮がん2例、卵巣がん3例、悪性リンパ腫3例、膵がん1例、胆のうがん1例であった。目的変数を生存とし、説明変数を家族歴、既往歴、出身地、嗜好品、職業、運動、画像情報(MRI, CT, PET-CT)、放射線治療反応有無(縮小 or 不変)、原発癌、組織型、stage、癌治療歴、分子標的薬使用の有無に設定した多変量解析の結果、放射線治療反応性が良好な群は不良群に比較し優位に生存率が高かった。(Kaplan-Meier法、p<0.001)。また原発癌がんでは肺がん、胃がん、すい癌が有意に生命予後不良であった。骨修復薬の長期的効果について、CT上の骨硬化を目的変数、説明変数を家族歴、既往歴、出身地、嗜好品、職業、運動、画像情報(MRI, CT, PET-CT)、原発癌、組織型、stage、癌治療歴、分子標的薬使用の有無に設定した。多変量解析の結果、放射線治療後の転移巣骨硬化所見に有意に寄与する因子は 原発癌(前立腺がん、乳がん、肺がんで腫瘍縮小効果良好。)長期5年でも骨修復薬の効果、生命予後に及ぼす影響が確認できた。5年の経過を総括すると、当初222症例の登録患者のうち142名(64%)が他界した。死因は癌死が最多であるが、他界症例の死因についても調査する意義があると考えている。また今後のさらなるテーマとして治療介入によるQOLの改善効果がある。これらも次のプロジェクトで合わせて検討を重ねていきたい。
|