研究課題
PRP関連サイトカインのうちPDGF(platelet-derived growth factor),FGF(fibroblast growth factor),EGF(epidermal growthfactor)についてELISA法により定量した結果,凍結乾燥後も新鮮PRPとほぼ同等の成長因子濃度が保たれていることを再実験で確認した.各成長因子の下流のシグナルであるMAPキナーゼERKの活性について,western blottingによりリン酸化の有無を検出することでその活性を評価した.結果,western blottingでは、新鮮PRPとfdPRPの両方で、下流タンパク質の細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)とPDGFRのリン酸化と活性化を示した.PDGFRとERKのリン酸化では対照群とFD-PRP群の間で有意差を認め,新鮮PRPとFD-PRP群間ではほぼ同等であった.また,免疫染色では新鮮PRPおよびFD-PRPの両方で骨芽細胞の有意な増殖を示した.さらにp-ERK/total-ERKの比率を算出するMTT assayにてそれぞれの刺激による細胞増殖,さらには各受容体ノックダウンによる細胞増殖抑制効果についても検討を行った結果,新鮮PRPとFDPRPの両群で骨芽細胞の増殖を有意に誘導し,対照群と比較して最大1.8倍の増殖が見られた.siRNAによるRNAiの手法を用いてノックダウン後に新鮮PRPおよびfdPRPを投与,ERK活性の抑制効果の検討を行った.結果,PDGFRノックダウンはwestern blottingにおいてPDGFRタンパク質の発現を著しく抑制した.各濃度で骨芽細胞PDGFRのノックダウンにより新鮮PRPとfdPRPの両群で下流ERK活性化が減衰した..
2: おおむね順調に進展している
ELISA法にて凍結乾燥後も新鮮PRPでも同等の成長因子濃度が保たれていた。また、western blotting により下流のシグナルのMAPキナーゼERKの活性化を評価した。各受容体のノックダウンによる細胞増殖抑制効果も検討した。また、siRNAを用いてERKの抑制効果を検討した。
in vivo実験では,in vitro結果をもとに,8週SDラットの脊椎固定術モデルを作成し評価した結果,fdPRPでは早期に骨癒合がみられ骨形成量も多く,癒合部の強度試験でも良好な結果を示した.次年度は今年度までの研究結果を踏まえ,将来人への臨床応用を見据えた効果・安全性の評価を行っていく方針である.
今年度の実験に関しては、以前購入した機材を用いて可能であったため使用した経費が少なかった。昨年度購入予定の機材を来年度購入予定とした。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Asian Spine J.
巻: Jan 14(1) ページ: 1-8
0.31616/asj.2019.0048. Epub 2019 Oct 4.