研究課題/領域番号 |
18K09095
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
片野 尚子 東京医科歯科大学, 統合研究機構, 助教 (50376620)
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研究分担者 |
関矢 一郎 東京医科歯科大学, 統合研究機構, 教授 (10345291)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 再生医療 / 体性幹細胞 / 間葉系幹細胞 / 生体材料 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、RGDペプチドを用いた非細胞足場素材と移植用細胞を組み合わせたRGDペプチド三次元細胞構造体による新たな軟骨・半月板再生医療技術を開発することである。滑膜に由来する間葉系幹細胞(滑膜幹細胞)は優れた自己増殖能と軟骨分化能を有し、in vitro軟骨分化用培地で培養すると軟骨塊を形成する。軟骨塊の大きさは細胞による軟骨基質の産生量を反映しているが、細胞塊が大きくなるほど中心部の栄養や酸素が欠乏するため、形成される軟骨塊の大きさには限界がある。そこで、本研究では、RGDペプチドを用いた非細胞足場素材(Petaloid recombinant peptide; Petaloid RCP)の使用がより大きな細胞塊の形成に有用であるかどうかについて検討した。具体的には、人工膝関節置換術後に得られた6膝の滑膜から分離・培養した滑膜幹細胞13万細胞をPetaloid RCP(0.125mg)と混合後、遠心して細胞塊とし、軟骨分化培地で21日間培養した。得られた軟骨塊の湿重量、DNA量、グリコサミノグリカン量、サフラニンO染色、トルイジンブルー染色、電子顕微鏡観察により組織を解析し、Petaloid RCPを混合しないコントロール群と比較した。その結果、軟骨塊の湿重量、軟骨塊あたりのプロテオグリカン量、軟骨塊あたりのDNA量はPetaloid RCP群でコントロール群より有意に増加した。組織所見により、Petaloid RCPは空間を作り、その空間を埋めるように軟骨基質が産生されることが観察された。Petaloid RCPにより空間が構築されたことで、細胞塊の中心部まで栄養がいきわたり、軟骨基質の産生が増加したと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標は「RGDペプチド三次元細胞構造体調製法の最適化」であり、これまでの成果を論文にまとめて発表している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の結果を元に、「RGDペプチド三次元細胞構造体の生体内機能評価」として、in vivoにおいて軟骨分化促進を検討し、さらに、動物モデルを用いた移植実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度にRGDペプチド三次元細胞構造体調製法の最適化を行い、その結果をもとにRGDペプチド三次元細胞構造体の生体内機能評価を進める予定であったが、三次元細胞構造体調製法の最適化に関してまとまった結果が得られたため、計画を変更して、論文発表を行うことにしたため、実験関連の未使用額が生じた。このため、次年度に予定していた生体内機能評価を行うこととし、未使用額はその経費に充てることにしたい。
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