研究分担者 |
中神 啓徳 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (20325369)
二井 数馬 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30588380) [辞退]
吉川 秀樹 大阪大学, 医学系研究科, 理事・副学長 (60191558) [辞退]
岡田 随象 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (70727411)
玉城 雅史 大阪大学, キャンパスライフ健康支援センター, 助教 (90837535)
|
研究実績の概要 |
脊椎関節炎モデルであるHLA-B27とβ2ミクログロブリンのトランスジェニックラット(B27tgラット)は約100日齢くらいで脊椎炎の症状が出現し始め(Taurog et al, Arth Rheum, 2012)、結核死菌を投与することにより関節炎の発症率がほぼ100%になることが報告されている(van Tok MN, et al, Front Immunol, 2017)。 我々はまずこのB27tgラットを用いてIL17Aワクチンの予防的効果について検討を行った。IL17Aワクチン(KLH-IL17Aワクチン)を2週間おきに3回接種し(0、2、4週目)、2回接種後の一週間後に結核死菌を接種し、抗体価、関節炎スコア、関節腫脹、さらにX線解析より骨破壊、病理組織解析によるアキレス腱付着部炎を評価した。末梢関節として足関節を体軸関節として尾部を対象とした。コントロール群としてKLHキャリアのみ投与を用いた。その結果、ワクチンよる抗体価は4週目には上昇を認め6週目には最大となった。そして関節炎スコアはワクチン接種群において抑制され、同様に関節腫脹についても関節腫脹が抑制されていることがわかった。X線解析によりKLHコントール群で見られていた骨・関節破壊はワクチン群では有意に程度は軽症であり、体軸関節と考えられる尾部でも付着部炎および関節破壊、骨新生は有意に軽症であった。さらに病理解析の結果からワクチン群では炎症性細胞の浸潤が抑制されており(CD68+細胞)腱付着部炎が抑制されていることがわかった。また肝臓、腎臓そして肺の組織染色よりワクチンによる組織毒性は認められなかった。 これらによりIL17Aワクチンには脊椎関節炎関節炎抑制効果がある可能性が示唆された。
|