• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

HSP阻害剤に対する防御的オートファジーの制御による骨軟部肉腫の新たな治療戦略

研究課題

研究課題/領域番号 18K09108
研究機関香川大学

研究代表者

山本 哲司  香川大学, 医学部, 教授 (80220482)

研究分担者 中村 修  香川大学, 医学部, 助教 (40532685) [辞退]
野村 優美  香川大学, 医学部附属病院, 医員 (40855459)
石橋 洋一  香川大学, 医学部附属病院, 病院助教 (50771937)
福岡 奈津子  香川大学, 医学部附属病院, 病院助教 (30771232)
加地 良雄  香川大学, 医学部附属病院, 講師 (30314917)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード骨軟部肉腫細胞 / HSP阻害剤 / オートファジー阻害剤 / オートファジー / アポトーシス
研究実績の概要

骨軟部肉腫は放射線治療や化学療法に抵抗性が強く、手術治療が選択されることが多い。しかし、手術侵襲を考慮すると、術前化学療法で腫瘍を縮小させることができれば理想的である。このため、既存の化学療法に代わる様々な標的治療薬が開発されおり、その標的因子のひとつに熱ショックタンパク質(HSP)がある。がん細胞において、その発生や増殖、転移を制御するHSPの因子が高発現していることは以前から知られている。しかし、実際に臨床応用されている薬剤は未だ確立されていない。本研究の目的は、骨軟部肉腫細胞に対するHSP阻害剤の効果およびその抵抗性を精査し、その抵抗性を制御することで、新たな術前化学療法の確立を目指すことである。この抗腫瘍薬に対する抵抗性が、防御的オートファジーと考えており、オートファジー阻害剤であるクロロキンを併用した抗腫
瘍作用について基礎実験を行う方針である。本研究では、骨軟部肉腫細胞株を使用し、HSP阻害剤に対する抵抗性のメカニズムを解明する。更に、その制御による抗腫瘍効果の増強を証明し、臨床応用の可能性を探ることである。われわれは新規HSP90阻害剤であるSNX-2112を使用する方針とした。その理由は、他のがん種では臨床研究まで応用が進んでいる実績があるため、臨床応用の可能性が高いことである。また、オートファジー阻害剤としてはクロロキンを使用する予定である。具体的には、in vitroの実験においては、生物生存アッセイ、ウエスタンブロットによるタンパク質の発現、フローサイトメトリー、蛍光顕微鏡による形態学的評価を行う。また、in vivoの実験では、ヌードマウスを用いた腫瘍組織移植モデル(ヌードマウスxenograft)を作製し、SNX-2112による腫瘍モデルの抑制効果を検討する予定となっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

3種の骨肉腫細胞株を用いてin vitroでの実験を進めている。令和元年度は、前回購入から時間が経過し、結果が得られにくくなっている抗体や追加の新たな抗体を購入した。すべての骨肉腫細胞株において、生物生存アッセイではSNX-2112により抗腫瘍効果を認め、ウエスタンブロット法においても、アポトーシスおよびオートファジー関連タンパクの発現を認めた。また、新しい抗体を使用することで、今まで得られた結果をさらに支持できるような実験結果も得られ始めている。このオートファジー関連タンパクの発現が、腫瘍細胞の抵抗性によるものと考えられる。また、フローサイトメトリーでのHSP阻害薬、オートファジー阻害薬の併用によるアポトーシスの促進の結果も得られ、おおむね順調に経過していると評価できる。

今後の研究の推進方策

現在得られているin vitroでの実験結果については、日本整形外科学会基礎学術集会、国際整形外科基礎学術集会等に発表するための準備を進めている。
また、in vitroの結果が全て揃った場合には、in vivoでの実験に移るべく、準備を進めている。具体的にはヌードマウスの背部皮下に現在継代・培養中の腫瘍細胞株を注射して作成した腫瘍組織移植モデルに対し、SNX-2112、クロロキン、あるいはその両方を投与し、腫瘍サイズの変化を経時的に計測し、その抗腫瘍効果を評価する予定である。更にその組織学的評価も予定している。
最終的には、上記実験結果を英語論文にまとめ、オンコロジーに関連した英文ジャーナルへの投稿を計画している。

次年度使用額が生じた理由

当初、計上していた旅費で参加予定であった学会が、新型コロナウィルス感染拡大のためWEB開催となったため、旅費として使用できなくなった。次年度も同様な状況が続けば、必要であれば実験試薬等の購入に充てる計画である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Efficacy of Hsp90 inhibitor SNX2112 with autophagy inhibitor for KTH cells2020

    • 著者名/発表者名
      Nomura Yumi, Nakamura Osamu, Yamagami Yoshiki, Nishimura Hideki, Fukuoka Natsuko, Ishibashi Yoichi, Negayama Takahiro, Yamamoto Tetsuji
    • 学会等名
      Orthopaedic Research Society 2020 Annual Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] MG63細胞に対するオートファジー阻害薬とHSP阻害薬の併用による抗腫瘍効果の検討2020

    • 著者名/発表者名
      野村 優美, 中村 修, 山上 佳樹, 西村 英樹, 福岡 奈津子, 石橋 洋一, 根ヶ山 敬大, 山本 哲司
    • 学会等名
      日本整形外科学会基礎学術集会

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi