骨軟部腫瘍で比較的多くの組織型で認められている融合遺伝子の同定し、このバイオマーカーを標的とした治療法を開発することで、骨軟部腫瘍の予後改善のための研究基盤を確立する。われわれは予後不良な類上皮肉腫にて解析を行った。15歳男性の類上皮肉腫である下腿軟部腫瘍の腫瘍サンプルから、Illumina社のHiSeq 2000を利用して取得したペアエンドリード配列を用いて、融合遺伝子を検出した。deFuseとFusionHunterの2種類のソフトウェアを用いた。候補となった融合遺伝子のうち、いずれの遺伝子もcoding locationにあるものを最初に解析した。その数は9個である。それらは、CES4A x TMEM26、C20orf111 x FITM2 、DDX58 x TOPORS、ASF1B x PRKACA、DPM2 x PIP5KL1、GATSL2 x GTF2I 、GNG10 x UGCG 、AC008993.1 x WASH1、AC010506.1 x ZNF600 である。当科で樹立した類上皮肉腫細胞株ESXでは、1つも融合が確認できた遺伝子配列はなかった。そこで、福岡大学から分与してもらった類上皮肉腫細胞株FU-EPS-1を使用して検討した。融合部をまたぐようにPrimerを設計し、FU-EPS-1のcDNAにおいて融合が確認できたのは、GATSL2×GTF2I1つのみであった。Sequenceにて融合していることを確認した。この融合配列が類上皮肉腫特異的な配列であるのかを類上皮肉腫細胞株FU-EPS-1以外の骨軟部腫瘍細胞株で確認した。しかし類上皮肉腫細胞株以外の骨肉腫細胞株、滑膜肉腫細胞株においても融合が確認された。
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