研究課題
基盤研究(C)
破骨細胞分化の過程で転写因子Nfatc1の発現が著明に増加することが知られている。破骨細胞において発現しているNfatc1 isoformは少なくとも3種類あり、増加するのはその内最も短いisoformである。我々はCRISPR/Cas9のシステムを用いて、この短いisoformに特異的なノックアウトマウスを作出した。このマウスは胎性致死であり、胎仔の造血幹細胞より破骨細胞を分化させた場合に野生型と異なりTRAP染色陽性多核細胞は分化しなかった。
臨床免疫学
この解析から、Nfatc1のbasalの発現だけではマウスは胎性致死に陥ることが判明した。肝臓における造血が不十分であることが一因であると思われる。また、より原始的な造血幹細胞から、単球系細胞は分化するものの破骨細胞は分化しないことから、Nfatc1のshort isoformの発現誘導が破骨細胞分化に必須であることが示された。今後このisoformの転写標的を同定する必要がある。本研究は破骨細胞や造血幹細胞の制御において有用な知見をもたらしつつある。