研究課題/領域番号 |
18K09119
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
高相 晶士 北里大学, 医学部, 教授 (90439117)
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研究分担者 |
内田 健太郎 北里大学, 医学部, 講師 (50547578)
大久保 直 北里大学, 医学部, 准教授 (10450719)
岩瀬 大 北里大学, 医学部, 助教 (30406946)
井上 玄 北里大学, 医学部, 准教授 (80594209)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 血管内皮成長因子 / TGF-β / 古典経路 / 非古典経路 |
研究実績の概要 |
昨年度までに血管内皮成長因子(VEGF)の上流としてTGF-bが重要である可能性を示してきた。今年度はSMADを介した古典経路およびMAPKを介したTGF-βによるVEGF制御機構を検討した。人工膝関節全置換術を施行した変形性膝関節症(OA)患者から採取した滑膜組織を用いて研究を行った。採取した滑膜組織をコラゲナーゼ処理した後、滑膜線維芽細細胞を採取、培養した。1, 10 ng/mlのTGF-βを加えVEGF発現および上清中のVEGF濃度を検討した。また、TGF-β添加と同時にALK5阻害剤(SB505124), p38阻害剤(SB203580)、JNK阻害剤(SP600125)を添加し、VEGF発現に及ぼす影響を検討した。また、smad2、p38のリン酸化をwestern blottingを用いて検討した。TGF-βによってVEGFの発現および上清中のVEGF濃度は増加した。この上昇はALK5阻害剤によって完全に抑制され、p38, JNK阻害剤によって部分的に阻害された。ALK5阻害剤によりSmad2のリン酸化が抑制された。ALK5阻害剤、TAK1阻害剤ともにp38のリン酸化が低下した。VEGFはTGF-βによって誘導され、Smad2を介した古典経路によって制御されている可能性が示唆された。一方、p38阻害剤によってVEGFの発現、産生が抑制されたこと、Smad2阻害によってp38のリン酸化が抑制されたことから、TGF-βは古典経路と非古典経路のクロストークを介してVEGFを制御されている可能性が示唆された。本制御機構は変形性膝関節症における疼痛惹起機構において重要な役割を果たすかもしれない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度までにVEGFの上流、下流および疼痛との関連性を明らかにしており、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
VEGFの下流として同定したApelinの疼痛への関与を検討する。
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