研究課題/領域番号 |
18K09120
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
二木 康夫 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (10276298)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 変形性関節症 / メカニカルストレス |
研究実績の概要 |
軟骨組織においてメカニカルストレスが細胞骨格を変化させ変形性関節症(OA)の病態に関わっていることは広く知られているものの、その詳細な分子メカニズムは依然として不明のままである。OA発症に至る機序を明らかにすることが本研究の目的である。 昨年度から引き続き、研究実施計画に記載した「新たなin vitro OA modelの確立」に取り組んだが、三次元力学的刺激装置(CLS、Technoview社)を用いたOA発症に必要なストレス強度、圧負荷後から細胞固定までの時間については、大腿骨の形状の個体差や長期培養に伴う感染の問題を解決できなかった。 一方で蛋白分解酵素の一種であるアクチナーゼ処理を添加するだけでも、メカニカルストレスを加えた状態と同様に、組織学的にOA変化に近い状態が惹起されることが確認できており、こちらを中心に解析を進めた。昨年度は、免疫染色において、Vimentinが発現することから、OA変化の直接的なトリガーが、メカニカルストレスではなく細胞の膨化現象である可能性が示唆されたと報告した。本年度は更に、免疫染色においてLubricinの発現も認める事を確認した。Lubricinは関節軟骨表層細胞や滑膜細胞から分泌されるプロテオグリカンであり、関節軟骨表面の摩擦低減や軟骨保護作用を有し、メカニカルストレスによってその発現が上昇する事が知られている。以上からcatabolicな変化とprotectiveな変化が細胞レベルでは同時に起こっていることが推測された。 これらの内容について第34回 日本整形外科学会基礎学術集会および第38回 日本運動器移植・再生医学研究会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
三次元力学的刺激装置(CLS、Technoview社)を用いたOA発症に必要なストレス強度、圧負荷後から細胞固定までの時間については、試行錯誤を繰り返したものの、大腿骨の形状の個体差や長期培養に伴う感染の問題を解決するには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
メカニカルストレスについては、マウスの大腿骨のサイズが小さいことによる各種問題も多いため、今後はラットやウサギなどへの動物種の変更も含めて研究を進めていく。 一方でOA変化の直接的なトリガーが実は細胞の膨化であり、メカニカルストレスはそれに影響を与える因子の一つである可能性が出てきた。 昨年に引き続きメカニカルストレスを加える系の確立を急ぐとともに、非ストレス下における軟骨細胞の変化を、定量的にはreal time PCRの手技を用い、定性的には組織学的に解析することで、細胞の膨化とOAとの関連性を探っていく方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬や消耗品の購入が年度内に間に合わなかったため、最終年度に繰り越して使用する予定である。
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