研究課題
変形性関節症(osteoarthritis, OA)は関節軟骨の変性、破壊、軟骨下骨の変化、骨増殖性変化を特徴とし、中高年の多くが罹患するいわゆるcommon diseaseである。バイオマーカーは関節構成体の代謝や機能を反映しており、いわばreal timeで軟骨、骨、滑膜などの関節構成体の病態を評価することが可能と期待されている。これらのバイオマーカーは単にOAの診断、評価だけでなく、未発症例からの新たな発症や既発症例の病変進行の予知、さらにはOAの治療薬物の有効性を評価することへの応用が始まっている。我々は、軟骨を用いたisobaric tags for relative and absolute quantitation法による網羅的プロテオミクス解析により、股関節OAの軟骨でleukocyte cell-derived chemotaxin-2 (LECT2) が有意に増加し、peroxiredoxin-6 (PRDX6) が有意に減少していることを報告し、更に、LECT2とPRDX6を股関節OA患者の術前術後の血清でELISA法を用いて定量し、PRDX6で術後に増加していることを報告した 。また、人工股関節置換術前後の血清を用いてプロテオーム解析を行い、同定されたタンパクの中で鉄結合性の糖タンパクであるlactotransferrinが最も術後に低下していることも発見している。臨床研究としては、痛みのある膝関節OA患者に対し、コンドロイチン硫酸内服の効果を1年間の無作為二重盲検比較試験で調査し、疼痛管理に有用であり、特に重症例では高容量で早期に痛みが改善されることを報告した 。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
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巻: - ページ: -
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