研究実績の概要 |
インターロイキン18 (IL-18) は炎症性サイトカインであるが、がんの発育・転移において免疫反応だけでなく、組織再構築を含む生体恒常性に機能し、抗腫瘍効果を持っている。がん微小環境には腫瘍関連マクロファージ (TAM) が存在し腫瘍促進性に働いているが、腫瘍抑制性に働くIL-18ががん微小環境内でどのように局所的に作用するのかは分かっていない。そこで本研究の目的は、骨肉腫の原発巣の発育から転移の形成に至る病態変化に合わせてIL-18の抗腫瘍効果ががん微小環境内のTAMに対してどのように作用するかを解明することである。さらにTAMをターゲットにしたがん治療におけるIL-18の可能性を検討する。 In vitroの実験でマクロファージを分化誘導させるため、マウスの骨髄細胞とマウスマクロファージ細胞RAW264.7を用いた。LPS,IFN-γ,IL-4,TGF-βの添加量を決め、それぞれ添加培養すると10日以降の細胞をフローサイトメーターで解析するとF4/80,CD80,CD163,CD206などの発現に特徴がみられた。リアルタイムPCRを用いて現在これらの細胞の遺伝子発現の解析を進めている。また、これらの細胞を元のLPS,IFN-γ,IL-4,TGF-βとそれぞれ異なるサイトカインと入れ替えて添加培養したところ、5日ではあまり変化が見られなかったが、10日以上培養すると細胞の性質がM1とM2とで入れ替わることが分かった。更にこのswichingした細胞の解析を行っている。
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