研究課題/領域番号 |
18K09124
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
山田 直子 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10319858)
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研究分担者 |
中正 恵二 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (00217712) [辞退]
山根木 康嗣 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (00434944)
西浦 弘志 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (90284760) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | IL-18 / 腫瘍関連マクロファージ / M1 / M2 / がん微小環境 |
研究実績の概要 |
インターロイキン18 (IL-18) は炎症性サイトカインであるが、がんの発育・転移において免疫反応だけでなく、組織再構築を含む生体恒常性に機能し、抗腫瘍効果を持っている。がん微小環境には腫瘍関連マクロファージ (TAM) が存在し腫瘍促進性に働いているが、腫瘍抑制性に働くIL-18ががん微小環境内でどのように局所的に作用するのかは分かっていない。そこで本研究の目的は、骨肉腫の原発巣の発育から転移の形成に至る病態変化に合わせてIL-18の抗腫瘍効果ががん微小環境内のTAMに対してどのように作用するかを解明することである。さらにTAMをターゲットにしたがん治療におけるIL-18の可能性を検討する。 マウスマクロファージ培養細胞RAW264.7にLPS, IFN-γ, IL-4, TGF-βをそれぞれ添加してM1, M2マクロファージに分化させた。LPS, IFN-γでM1様にIL-4, TGF-βでM2様に分化することを確認した。各サイトカインを添加培養している間では形質は維持され、その後添加するサイトカインを変えると形質が添加したものにより大きく変わりpolarizationが起こった。しかしIL-18単独添加では細胞表面抗原の確認によるpolarizationはみられなかった。そこで同時添加によるIL-18の効果をRealTimePCRで調べたところ、IL-18により発現が増強される遺伝子がみつかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウスマクロファージ培養細胞RAW264.7にLPS, IFN-γ, IL-4, TGF-βを添加してM1, M2マクロファージに分化させた。LPS, IFN-γでM1様にIL-4, TGF-βでM2様に分化することを、フローサイトメーターによりCD80, CD86, CD163, CD206の細胞表面発現を調べることで確認した。各サイトカイン添加培養一週間後に各細胞を回収し、この分化後の細胞に各サイトカインを添加するとpolarizationが起こった。しかし分化後の細胞にIL-18を単独添加してもpolarizationは起こらなかった。またIL-18と各サイトカインの併用添加による効果をみるためにRealTimePCRで様々な遺伝子の発現の変化を調べた。IL-18との併用により著しく発現が増強する遺伝子があった。現在解析する遺伝子を増やしている。またマクロファージを分化誘導する別のサイトカインとの併用効果を調べるため同様の解析を進めている。コロナの影響により試薬等の入手に時間が掛かり実験の進行が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
M2にはa, b, cのサブタイプが存在し、それぞれ誘導するサイトカインも異なる。そこでIL-4, TGF-β以外のIL-10やIL-1βなどの分化誘導効果を調べていく。その上でIL-18との併用によるpolarizationへの効果をRealTimePCRで確認する。これまでにIL-18との併用で発現が増強する遺伝子がみつかっており、関連する遺伝子の発現解析を広げていく。in vivo実験を進める。皮下に腫瘍を形成させ、腫瘍内部・周囲に存在するマクロファージを検出し、その性質を明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
in vitroの培養条件決めやコロナにより試薬入手に時間が掛かり、細胞形質の解析やin vivo実験があまり進まなかった。次年度は現在進めているRealTimePCR解析のためのprimerやqPCR試薬、in vivo解析のためのマウスや染色用抗体の購入費用に充てるつもりである。
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