研究課題/領域番号 |
18K09128
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
藤村 哲也 自治医科大学, 医学部, 教授 (50376448)
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研究分担者 |
高山 賢一 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (50508075)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | TRIM36 |
研究実績の概要 |
骨転移を有する進行前立腺癌に対しては内分泌治療が標準治療である。しかし、感受性の差や再燃の可能性を治療前に予測することは困難である。現在用いられている診断の指標には、腫瘍の分子学的特徴を反映しない。近年、次々とアンドロゲン代謝調節剤、抗癌剤、分子標的薬などの新薬が登場している中で、前立腺癌に対しても分子診断に基づく治療戦略の確立が望まれる。先行の基盤研究(C)では、骨転移を有する進行前立腺癌の生検標本をLaser captured microdissection(LCM)法にて癌細胞、癌周囲間質細胞を別々に採取し、アンドロゲン、エストロゲンシグナル、およびstem cell like cell の発現を解析した。その結果、アンドロゲン遮断療法後のPSA 再燃および癌特異的生存率を遺伝子発現パターンで予測できることを試験集団および検証集団で確認した(Clin Cancer Res)。 前立腺癌の予後マーカーの一つであるtripartite motif 36(TRIM36)の機能解析を行った。限局性前立腺癌においてもTRIM36の免疫組織化学染色によるはシグナル低下は有意に予後不良因子となっていた。LNCaP, 22Rv1,およびDU145細胞にTRIM36を過剰発現させると細胞増殖と移動能の低下を認めた。siRNAを用いてTRIM36をノックダウンさせるとLNCaP, 22Rv1において細胞増殖と移動能の亢進を認めた。マイクロアレイを用いた機能解析ではTRIM36の過剰発現とアポトーシス関連遺伝子との相関を認めた。TRIM36は腫瘍増殖抑制と移動能の抑制に関与している可能性を見出した。 同時に100例の診断時に転移を有する前立腺のコホートの予後調査完了と生検病理組織を用いた分子診断の予備的検討も同時進行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
生検病理からのRNA抽出の品質管理の追試に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
生検病理からのRNA抽出に際して試薬の変更、パラフィン標本からの切離方法の変更、PCRの条件設定など条件を詰めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
生検標本の準備作成に時間を要し、見込んだ症例数の標本を作成できなかったため、次年度に持ち越して、標本作成、および分子診打に必要な実験を行う予定である。
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