研究課題/領域番号 |
18K09129
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
松岡 陽 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (90401380)
|
研究分担者 |
齋藤 一隆 獨協医科大学, 泌尿器科, 教授 (10422495)
藤井 靖久 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (70282754)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 前立腺癌 / MRI / 超音波 / 画像ガイダンス |
研究実績の概要 |
限局性前立腺癌を対象とした臓器温存・癌局所療法であるfocal therapyの発展には病巣局在評価能と病巣へのアクセスの精度向上が必要である。優れた画像診断能を有するマルチパラメトリックMRIを組織診断や治療過程に役立てるには、リアルタイム画像と融合させる多種画像統合技術の開発が必要である。本研究では、リアルタイム経直腸超音波画像を活用し、リアルタイム経尿道的超音波画像または内視鏡画像を利用する経尿道的診療支援技術の開発を念頭に、以下の解析を施行した。 経尿道的超音波画像での前立腺内標的領域の空間的位置の一致性評価の一環として、電磁気ジェネレーター、追跡センサーを使用のもと、事前に取得したマルチパラメトリックMRI画像をreferenceとして、経直腸的超音波画像上の前立腺部尿道、前立腺内標的領域、直腸の相対的位置関係の解析を引き続き行った。 また、マルチパラメトリックMRI上の病巣範囲と病理学的病巣範囲の差異、画像ガイダンスシステム使用時に潜在する空間的位置の差異、経直腸超音波プローブ使用に伴う前立腺の変形などの情報は、精緻なfocal therapyの治療計画に必要となる。そのため、電磁追跡型MRI-経直腸超音波画像弾性融合システムを使用した前立腺生検の病理診断結果を用いて、生検検出癌とMRI陽性域の相対的な空間的分布解析を行った。MRI陽性域外からの検出癌とMRI陽性域の距離を測定、さらに検出癌のgrade解析を行い、経尿道的超音波とマルチパラメトリックMRIの画像融合技術の開発へ向けた基礎的データの収集に取り組んだ。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、マルチパラメトリックMRIと経尿道的超音波の画像統合、多種画像情報ガイダンスを用いた前立腺内標的領域へのアクセス技術の開発を目指しているが、前立腺ファントムモデル下での経尿道的超音波内視鏡システム使用にあたり、画像アーチファクト発生の課題が生じたため、研究プロセスの調整が必要となった。この点への対応として、経直腸超音波画像から得る前立腺位置情報から、前立腺部尿道、前立腺内標的領域、直腸の相対的空間的位置関係や位置追跡を解析することにより、経尿道的超音波システム使用の想定研究を加えることとしたが、研究および解析ステップの増加、COVID-19感染症蔓延による研究活動制限の影響を受け、研究の進捗状況はやや遅延している。
|
今後の研究の推進方策 |
経尿道的超音波内視鏡、前立腺ファントムモデルを使用しての研究遂行にあたり、機材上の課題点が確認されたため、経直腸超音波画像からの収集データで代替して、ひきつづき研究を進める計画である。近年、前立腺生検は多種画像情報ガイダンス機能が導入され、技術的発展の著しい分野の一つであり、新規医療機器が登場している。本研究は泌尿器科臨床への関連性の高い内容であることから、臨床への貢献を念頭に、研究内容を柔軟に調整して遂行する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由)当初の研究計画では、前立腺ファントムモデルを使用した解析を計画していたが、画像アーチファクトの課題が生じ、経直腸超音波システムから前立腺部尿道情報を収集し、前立腺部尿道、前立腺内標的、直腸の空間的位置関係を相対的に解析する手法へ変更したこと。新型コロナウイルス感染症の広がりによる国際学会および国内学会の延期や中止に伴い、学会参加費や旅費の使用が次年度以降へ移行したこと。 (使用計画)画像アーチファクトの課題への対応状況に応じて研究手法に対応したファントムを追加購入する計画である。また、新型コロナウイルス感染症蔓延の終焉後、学会参加および発表を行う計画である。
|