研究課題/領域番号 |
18K09131
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
藤原 雅也 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (10751688)
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研究分担者 |
杉村 芳樹 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (90179151)
渡邉 昌俊 三重大学, 医学系研究科, 教授 (90273383)
石井 健一朗 三重大学, 医学系研究科, 助教 (90397513)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 前立腺癌 / 線維芽細胞 / 三次元的な細胞形態 / マトリゲル / 走化性 / スクリーニング法 |
研究実績の概要 |
本年度は、前立腺間質における線維芽細胞の多様性が前立腺癌細胞の三次元的な細胞形態に与える影響を検討する目的で、前立腺癌患者の針生検組織から初代培養して得られた線維芽細胞pcPrFsとアンドロゲン感受性ヒト前立腺癌LNCaP細胞との培養基質上でのin vitro共培養実験を施行した。実験には市販されている正常ヒト前立腺間質細胞PrSCを比較対照細胞として使用した。培養基質マトリゲル上におけるin vitro共培養実験では、LNCaP細胞に対してPrSCおよびpcPrF-M7 (M7)それぞれを組み合わせて、24時間および48時間の共培養を行った後に、三次元的な細胞形態や細胞増殖性の差異を比較検討した。その結果、PrSCもしくはM7との共培養によりLNCaP細胞の三次元的な細胞形態が観察された。PrSCもくはM7の単独培養群でも細胞集塊を形成することができたものの、LNCaP細胞単独培養群では細胞集塊を形成しなかった。PrSCとの共培養群ではLNCaP細胞層とPrSC層が明瞭に分かれたものの、M7との共培養群ではLNCaP細胞がM7層へ浸潤した。PrSCに比較して、M7との共培養群ではLNCaP細胞におけるKi-67陽性率が有意に高かった。 以上の結果より、癌患者由来線維芽細胞pcPrFsが産生・分泌するパラクライン因子もしくは癌細胞とpcPrFsの接触による刺激がLNCaP細胞の走化性を亢進させる可能性が示唆された。さらに、培養基質を用いてLNCaP細胞の三次元的な細胞形態の差異を観察することで、activeな線維芽細胞を判別できる新規スクリーニング法の開発へと発展できることが期待された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培養基質(マトリゲル)を使用することで、ヒト前立腺癌細胞と線維芽細胞が構築する三次元的な細胞形態の観察に成功した。これまで、培養液中に浮遊させる等で作製可能なスフェロイド塊では観察できなかった、間質層に癌細胞が含まれるヒト前立腺癌組織に近似した組織像を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は前立腺癌患者の針生検組織から初代培養して得られた線維芽細胞を1つしか使用していないため、次年度は複数の線維芽細胞を用いて、線維芽細胞の性質によって実験産物の三次元的な細胞形態に差異があるか否かを検討する。
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