研究課題/領域番号 |
18K09133
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
加藤 大悟 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70648021)
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研究分担者 |
清谷 一馬 公益財団法人がん研究会, がんプレシジョン医療研究センター 免疫ゲノム医療開発プロジェクト, 主任研究員 (30433642)
植村 元秀 大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授(常勤) (40631015)
朝長 毅 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 創薬デザイン研究センター, 上級研究員 (80227644)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 免疫チェックポイント阻害剤 |
研究実績の概要 |
1.T細胞受容体(T cell receptor, TCR)シーケンスによる末梢血および腫瘍組織中T細胞に対するTCRレパトア解析 現在までに進行性腎細胞癌に対してニボルマブを投与した患者20名において、経時的に末梢血Peripheral Blood Mononuclear Cells(PBMCs)を採取し、RNAを抽出した。20名の患者において、治療開始前、治療開始1・3・6ヶ月後までのPBMCsを採取し、TCRシーケンスを施行した。その結果奏効例では、治療開始1ヶ月後、3ヶ月後にDiversity Index(DI, T細胞の多様性を示す指標)が有意に低下していた。また奏効群では、治療開始1ヶ月後、3ヶ月後において、腫瘍浸潤T細胞クローンと共通する末梢血T細胞が有意に増加しており、特定の頻度の高いT細胞クローンが、投与前と比較し、有意に増加している傾向にあった。以上から奏効例では、治療後早期に特定のT細胞クローンが末梢血中で増加し、腫瘍抗原特異的T細胞として全身循環し得ることが示唆された。 2.末梢血T細胞由来エクソソームに対するプロテオーム解析によるT細胞表現型解析 健常人10人のPBMCsよりフローサイトメトリー法にてCD4+、CD8+、CD4+CD25+T細胞をソーティングした。各分画よりタンパクを抽出し、TMTラベル化液体クロマトグラフ-タンデム型質量分析法(LC-MS/MS法)による網羅的プロテオーム解析を行った。これにより同定された複数の各分画由来の候補タンパクをプロテオームライブラリーとして作成した。現在進行性腎細胞癌に対してニボルマブを投与した患者20名の末梢血PBMCsよりタンパクを抽出し、奏効例、非奏効例を判別可能なマーカーを探索中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今後も研究期間内に研究を完遂できる様に、計画通りに進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1.T細胞受容体(T cell receptor, TCR)シーケンスによる末梢血および腫瘍組織中T細胞に対するTCRレパトア解析 今後は進行性腎細胞癌に加えて進行性尿路上皮癌においてもImmune checkpoint inhibitors (ICIs)投与症例を蓄積し、①末梢血において有意に増加したT細胞クローンと腫瘍浸潤T細胞(TIL)との関連性や②ICI投与前後における免疫関連遺伝子の比較により奏効に寄与する遺伝子の発現変化などを検討し、奏効予測マーカーの統合的な理解を行う予定である。また進行性腎細胞癌においては、ニボルマブとイピリムマブの併用療法などの症例を蓄積し、ニボルマブ単剤との免疫応答の相違性を確認する。 2.末梢血T細胞由来エクソソームに対するプロテオーム解析によるT細胞表現型解析 先述の様に進行性腎細胞癌に対してニボルマブを投与した患者20名の末梢血PBMCs中のタンパクのプロテオーム解析を行い、奏効例、非奏効例を判別可能なマーカーを探索する。現在腎癌患者と健常人のPBMCsよりCD8/CD4T細胞を分取し、腎癌患者で有意増減するタンパク候補を決定した。今後はこの候補タンパクを中心に、ニボルマブ投与患者の血漿サンプルを用いて、奏効マーカーの判別を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を進めていく上で、必要に応じて研究費を執行したため、当初の見込み額と執行金額が異なった。
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