研究課題
1.T細胞受容体(T cell receptor, TCR)シーケンスによる末梢血および腫瘍組織中T細胞に対するTCRレパトア解析進行性腎細胞癌に対してニボルマブを投与した患者25名において、投与前、投与1・3・6ヶ月後の末梢血Peripheral Blood Mononuclear Cells(PBMCs)および一部の症例では投与前腫瘍組織に対して、TCRレパトア解析を行った。その結果奏効例では、治療開始1ヶ月後、3ヶ月後にDiversity Index(DI, T細胞の多様性を示す指標)が有意に低下し(P = 0.034, P < 0.01)、特定のT細胞クローンが末梢血中で増加していた。またDIが低下した群では、増加群と比較し有意に無増悪生存期間が延長した(P = 0.026)。さらに奏効群では治療1ヶ月後、3ヶ月後に高頻度(0.01%以上)のT細胞クローンが末梢血中で有意に増加し、その一部は投与前腫瘍組織中にも存在した。以上から奏効例では、治療後早期に特定のT細胞クローンが末梢血中で増加し、腫瘍抗原特異的T細胞として全身循環し得ることが示された。2.末梢血T細胞由来エクソソームに対するプロテオーム解析によるT細胞表現型解析健常人10人のPBMCsよりフローサイトメトリー法にてCD4+、CD8+、CD4+CD25+T細胞をソーティングした。各分画よりタンパクを抽出し、TMTラベル化液体クロマトグラフ-タンデム型質量分析法(LC-MS/MS法)による網羅的プロテオーム解析を行った。さらに進行性腎癌患者に対して各分画に対するプロテオーム解析を行い、健常人と比較して有意に増減する候補タンパク50個を選出した。現在進行性腎細胞癌に対してニボルマブを投与された患者25名の末梢血PBMCsよりタンパクを抽出し、先述の候補タンパクの定量分析を行い、解析中である。
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Oncoimmunology
巻: 10(1) ページ: 1862948
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