研究課題/領域番号 |
18K09134
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
亭島 淳 広島大学, 医系科学研究科(医), 准教授 (20397962)
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研究分担者 |
松原 昭郎 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (10239064) [辞退]
坂本 直也 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (20571798)
安井 弥 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (40191118)
林 哲太郎 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (60612835)
神明 俊輔 広島大学, 病院(医), 助教 (70749936) [辞退]
井上 省吾 広島大学, 病院(医), 講師 (90457177)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 前立腺癌 / オルガノイド / 泌尿器癌 / 薬剤耐性 |
研究実績の概要 |
限局性前立腺癌、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)、前立腺肥大症の組織に加え、腎細胞癌、尿路上皮癌の組織についても患者個別のオルガノイド樹立に取り組んだ。泌尿器癌全般に対象を広げたが、やはり症例によってオルガノイドの樹立が容易な症例、樹立できても維持が極めて短期間にとどまる症例、樹立できなかった症例がみられた。この理由としては、由来した組織の保存状態、患者個別の要因、組織学的特性に関連した要因などが考えられた。 前年度までの研究でCRPCにおけるドセタキセル耐性と関連が示唆されたKIFC1について、その機能解析を行い、さらにKIFC1阻害薬CW069処理によるオルガノイド並びに前立腺がん細胞株のドセタキセル感受性の変化について解析した。 前立腺癌オルガノイドでKIFC1の発現を解析し、高発現症例と低発現症例でドセタキセルの感受性を見たところ、KIFC1高発現症例は有意にドセタキセルの感受性が不良であった。KIFC1の発現が低い前立腺癌オルガノイドに対してKIFC1強制発現株を作成、KIFC1強制発現前立腺癌オルガノイドはドセタキセル感受性が不良であった。さらにKIFC1阻害薬であるCW069について前立腺癌オルガノイドを用いて解析したところ、KIFC1高発現例で、有意に細胞増殖を阻害した。また正常前立腺オルガノイドでは細胞増殖の効果を認めず、癌特異的に作用している可能性が示唆された。 前立腺肥大症における5α還元酵素阻害剤の治療抵抗性に関与する分子の同定を明らかにすることを目指し前立腺肥大症からオルガノイドを樹立した。5α還元酵素阻害剤耐性オルガノイド樹立を目標に、5α還元酵素阻害剤を添付し、長期培養を試みたが、途中で発育しなくなり、耐性株の樹立は困難であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
いったん樹立したオルガノイドの維持が困難なケース、オルガノイドの樹立そのものが困難なケースは存在するものの、他の泌尿器癌を含めいくつかの遺伝子に関しては機能解析に成功しており、一定の成果に到達したと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
前立腺癌、前立腺肥大症の症例に加えて他の泌尿器癌についてトライすることによって徐々に成功率を改善につながっている。安定して樹立されたオルガノイドについては、これらを用いた薬剤耐性の分子機構についての解析を随時進めていく。
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