腎癌発症に関連するlncRNAの同定研究をすすめ、その研究戦略の中で悪性度のもっとも高く、発見時には遠隔転移を起こしていることが多いベリニ管癌患者にて高発現するlncRNA同定を目指し、そのlncRNAが腎細胞がんの多くを占める淡明細胞型の悪性度や増殖転移に関連するかの汎用性を検討する研究であった。 もともとのベリニ管癌の目標症例数は3例を検討していたが、1例は中央病理医の判断でベリニ管癌ではなくエントリーした3例の中で2症例がベリニ管癌であることが診断された。この2例のパラフィンブロックから抽出したRNA(癌組織、正常組織)を用いてRNA発現のアレイ解析を行い、共同研究者の早野によりベリニ管癌組織で有意に高発現であるlncRNAの同定を行った。 lncRNAの局在部位によっても機能が違うことが想定されるが、細胞質限局タイプのlncRNAの中のGNASやYY1AP1といったlncRNAがベリニ管癌組織では高値であり現在淡明腎細胞癌組織内の発現を検証している。またバイオインフォマシャンにより、それらの高発現のlncRNAのスポンジ効果としてのmiRNA-205-5pやmiR-371a-5pがlncRNAにより発現低下する可能性が示唆され、それぞれの標的遺伝子であるMXI1やKIF3Bの発現が間接的に亢進しているかの検証を行っている。現在はこれらの結果をまとめ論文作成予定である。
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