研究課題/領域番号 |
18K09136
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
福森 知治 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 徳島大学専門研究員 (10314874)
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研究分担者 |
金山 博臣 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (10214446)
高橋 正幸 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (50325255)
布川 朋也 徳島大学, 病院, 講師 (70564342)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ガレクチン3 / 前立腺癌 / 腎細胞癌 / 尿路上皮癌 / 治療抵抗性 / LGALS3 |
研究実績の概要 |
2019年度は治療抵抗性におけるガレクチン-3の関与と分子メカニズムの解明について、特に尿路上皮癌について研究を行った。当院での膀胱全摘症例の切除組織についてHE染色及びガレクチン-3の免疫染色解析をしたところ、ガレクチン-3高発現組織ではリンパ球数が少ないことがわかった。さらに詳細に検討するため、CD8陽性T細胞について免疫染色解析した。ガレクチン-3発現とCD8陽性T細胞数と逆相関していることがわかった。ガレクチン-3によるCD8陽性T細胞への影響が示唆されたので、ガレクチン-3タンパク質をCD8陽性T細胞にどのように影響するかを検討した。ガレクチン-3タンパク質による処理後、CD8陽性T細胞数をフローサイトメトリー法で解析した結果、明らかな変化を認めなかった。またアネキシンVによるアポトーシス変化を確認したが、CD8陽性T細胞への影響は明らかではなかった。また膀胱癌のガレクチン-3発現とCD8陽性T細胞の関連をマウスモデルで確認するために、マウス由来の膀胱癌細胞株MBT-2のガレクチン-3 ノックアウト細胞を作製し、現在、予備実験を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究で、実験計画の「治療抵抗性におけるガレクチン-3の関与と分子メカニズムの解明」の膀胱癌の項目のうち、膀胱癌に対するCD8陽性T細胞の影響をガレクチン-3が関与することで免疫による腫瘍抑制を妨げている可能性が示唆された。マウス由来の膀胱癌細胞株MBT-2のガレクチン-3 ノックアウト細胞を作製し、ガレクチン-3 発現のあるコントロールと比較して、腫瘍自体へのCD8陽性T細胞の浸潤度の違いを検討中である。 これらの成果は2020年日本癌学会学術集会で発表する予定であり、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
膀胱癌に対するCD8陽性T細胞の影響をガレクチン-3が関与することで免疫による腫瘍抑制を妨げている可能性が示唆された。この結果から、膀胱癌に対するPD1抗体の阻害時の抗腫瘍効果がガレクチン-3の有無によって異なる可能性が示唆される。今後の研究の方策としては、MBT-2(コントロール)とMBT-2(ガレクチン-3 ノックアウト)をマウスに移植して、抗PD1抗体による加療による抗腫瘍効果の違いを検討する。また摘出した腫瘍についてHE染色及びCD8陽性T細胞の浸潤度を比較検討する予定である。この結果を明らかにすることで、抗PD1抗体による治療抵抗性腫瘍においてガレクチン-3が重要な免疫治療抵抗性機構に関与していることが示され、新たな治療ストラテジーにつながる。
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